不動産業30年の経験から解説します。
不動産を売却したいと考えた時、どんな方法で不動産会社を見つけますか?
今の時代で一番身近にあるのは、不動産の一括査定サイトです。
手軽にできるメリットとデメリットがありますので、解説します。
不動産の一括査定サイトのメリットとデメリット
不動産の価格を知りたいと思うとき、インターネットの一括査定サイトを利用することで、比較的観点に知ることができます。
メリットとデメリットがあります。
不動産の一括査定サイトを使うメリット
インターネットを、「不動産 一括査定サイト」と検索すると、たくさんの一括査定サイトを知ることができます。
一括査定サイトは、ネットの画面で入力することで、簡単に複数の会社の査定価格を知ることができる便利なサイトとして知られています。
一括査定サイトのメリットの1
1番のメリットは、簡易的な机上査定であれば、家まで来てもらわなくとも不動産の価格を知ることができることです。
実際にいつ売却するのか明確ではないが、おおよその価格を知っておきたいと考え利用する時には、重宝します。
相続があったときや、離婚の可能性が出てきた時、あるいは諸事情で住宅ローンの返済が厳しくなった時などの最初のステップとしては、使いやすいです。
一括査定サイトのメリットの2
複数の不動産会社の担当者から、説明を受けますので、査定に関する知識もつきます。
また、不動産会社をどう選べばわからない時など、営業担当からの対応の受け方によって、今後どこの会社に依頼したら良いのかの目安をつけることができます。
会社の考え方や担当者の接し方から、良い担当者を見つけられる、きっかけになります。
良い担当とは、売主にとって、経験がない不動産を売却することということに関して、わかりやすく説明をしてくれる担当者です。
そして、想定した通りに販売が進まない時でも、きちんと根拠を持って、次の作戦を提案をしてくれる担当者です。
不動産の一括査定のデメリット
一括査定は、手軽にできるメリットにかわり、デメリットがあります。
一括査定のデメリット|査定価格が正しくない
ほとんどの一括査定サイトの画面では、「高い価格で査定して売ってくれる会社を見つけられます」的な表現をしています。
当然ながら、ユーザーも高く売ってくれるものとして考えている傾向があります。
ですので、相場価格から正直に査定価格を算出した不動産会社には、大半のユーザーが依頼しません。
そのことは、不動産会社の担当者は、経験的に知っていますので、他の不動産会社よりも高い価格を提示しようとします。
それは、実際の物件を見ていない机上査定の段階でもそうですし、訪問してから算出する査定価格もそうです。
一括査定の仕組み上、これは、避けられないことです。
結果、会社の数が多くなるほど、ありえない高い価格の提案をする不動産会社担当まで現れます。
売却が完了するまで長期化する可能性が大きい
相場価格よりも高い価格で売り出すのですから、そう簡単には売れません。
市況に見あった価格でなければ、買主に存在すら知られないからです。
今の買主は、エリアと価格と広さを条件に、不動産サイト(スーモやアットホームなど)を検索してから、見学と検討をします。
市況に見あった価格ではない高すぎる価格では、買主の検索にヒットしませんので、見つけてもらえない状態になります。
その結果、売り出し価格は下げざるをえません。
もちろん、テストマーケティングとして、高め価格で販売開始する方法はあります。(筆者も推奨)
しかし、一括査定サイトの広告表現と、複数の会社が提案してきた価格(競争のために無理してる価格)を見てしまうと、ありえない価格でも売れるかもしれないと思う売主もたくさんいます。
ですので、売却が完了するまでの期間は、長期になります。
不動産の一括査定をやってみたら分かること
実際に一括サイトに、アクセスして、情報を書き込んで登録してみるとわかることがあります。
提案価格の信頼性が低いこと
その一つは、前述しましたように、査定価格が会社同士の競争の上で、提示されますので、どんなに大手であろうと、かなり怪しいレベルの価格提案をしてくることです。
あまりに高い価格をしてくる不動産会社の担当者には、次のように質問してみると、その信頼度がわかります。
「今回の提案価格は、3ヶ月ほどの目安で売れる可能性がある価格ですか?」
この質問をした時に、「高く売れる可能性があるので、もったいないから、チャレンジしてみたほうがいい」などと回答してくる場合、提案されている価格は、滅多に売れない価格になっている可能性があります。
不動産会社の担当者の人柄や信頼度がわかる
実際に、一括査定サイトに登録した後で、各不動産会社から電話やメールでアプローチを受けることになります。
その結果、不動産会社の考え方や担当者の人柄が分かります。
大手企業の社員だから、イコール信頼できるとは言えないことも、お分かりになるでしょう。
不動産仲介とは、構造的にはとてもシンプルになっています。
ですので、関わる担当者の知識情報(きちんと勉強を重ねている人かどうか)や経験値(多くの場数を経験していて、想定外のことがあっても安心して任せられる)が、売買取引に流れに大きく影響をします。
不動産市況をきちんと勉強をしていない担当者もいます。
分からないことをいろいろ質問してみて、的確に、安心できるように説明してくれるかどうかで判断できます。
不動産一括査定サイトのおすすめ
どの不動産査定サイトを選ぶのがおすすめなのか、という点もユーザーが悩むポイントです。
結論から言いますと、どの不動産査定サイトも基本的な方法は、同じですので、悩む必要はないと思います。
ただ、おすすめしないのは、広告的にあまりにも高い価格で売却可能と煽っているサイトもありますので、そういう傾向の広告には、飛びつかないことをおすすめします。
不動産が売れるのは、市況と周辺の需要供給バランスによるものであり、特定の不動産会社や担当者だから高く売れるということはないからです。
大事なことは、市況や需要供給バランスを熟知している担当者かどうか、ということだからです。
あえて、その中からおすすめするとしたら、少しだけ違いのある不動産サイトがあります。
マンションナビ
マンションナビの特徴は、パソコン画面の段階で、ある程度の概算価格を知ることができることです。
マンション自体の平均的な査定価格が分かるので、自分の部屋のことを知ることができるのはありません。
しかし、まだ売却依頼までの段階ではないのでしたら、平均的な価格を知ることで、それよりも面積か広いか狭いか、階数が上なのか下なのかで、価格が決まりますので、目安として知るのでしたら、十分かもしれません。
それ以上に、実際の部屋の具体的な価格の目安を知りたいとなれば、他の一括査定と同様に、画面の中で、個人情報と不動産情報を、なるべく詳しく入力することになります。
不動産の一括査定で唯一の匿名査定|ホームズの匿名査定
ホームズという不動産サイトでは、匿名で概算査定をしてもらうことができます。
匿名ですので、個人情報を登録する必要はありませんし、不動産情報も詳細は入力しなくても良いです。
詳細情報がない分、査定価格は、上限と下限の価格差が非常に大きくなる傾向はあります。
回答は、不動産会社から直接ではなく、ホームズを経由して、メールで受信する事になります。
メールを送信してきた不動産会社の中から、選んで、実際の査定価格を教えてもらうことができます。
メールの文面にも担当者の人柄や考え方が反映されますので、第一段階としては、有益な不動産サイトといえます。
不動産の一括査定を依頼すると電話がきます
不動産の一括査定を依頼して、想定外に困ることが、不動産会社各社から、電話とメールの連絡が連日あることです。
選択した会社(ほとんどの場合自動選択)が多いほど、あるいは査定サイトを2つ以上にした場合など、各不動産会社から電話のアプローチを受けることになります。
一括査定を利用する場合、このことについて、承知しておかねばなりません。
多くの場合、定形フォームに入力されている内容に不備がある場合や間違いがないのかの確認のための電話連絡です。
一括査定は、ユーザー側にとっては、手軽にできる方法なのですが、依頼を受ける不動産会社は、簡易査定(机上査定)と言っても、不動産価格を伝えることは、個人情報に準じるものと考えているからです。
実際に関係性のない他人であったり、相続権のない義理の家族であったり、など所有権を持っていない方からの一括査定依頼の数は非常に多いのです。
不動産会社にとって、査定価格を伝えることは、財産の情報を伝えることです。
ですので、伝えて良い相手なのかについては、慎重になります。
一つの一括査定で、通常5社ほどが自動的に選択されています。
多すぎる場合は、選択数を減らす必要があります。
もし、一括査定サイトを2つ3つと登録されると、10社15社から、電話で同じ質問を受けることになります。
まとめ
不動産査定では、一括査定から始めるのが良いです。
ただし、注意点があります。
不動産査定の一括査定は、高い価格を提案してくれる会社は、どこなのか、いくらなのか、という視点で考えてしまいます。
しかし、提案される価格は、不動産会社同士の競争のための価格である可能性が高いです。
高い価格を望む方が一括査定に興味を持たれるので、当然のことですが、競争のための価格なので、実際に売れる価格と思い込むと大失敗してしまいます。
不動産の一括査定では、不動産会社の考え方の違いと、良い担当者と巡り合うための方法として考えるとおすすめの方法です。
関連記事一覧