不動産の事故物件とは、ご存知の通り、人が亡くなっていたことのある物件です。
広告などの概要に、「心理的瑕疵」という言葉があれば、それは事故物件のことです。
人間には寿命がありますので、人が住宅でなくなることは普通にあることですが、筆者のように
不動産業を営んでいるものには、告知義務があります。
次に購入する方(賃貸の場合も同様)に対して、伝えなければなりません。
事故物件は一般的に嫌がる方が多いですので、安くなります。
不動産価格・事故物件の価格
さて、事故物件の場合、不動産価格はどの位安くなるのか。
これには、明確な計算式や係数はありません。
ただ、経験からいいますと、事故物件は不動産価格は目安として「30〜40%ほど」は安くなります。
一方では、価格の問題ではないという人も多数います。
ですから、相場の20%〜25%安い価格で、ネットに物件情報を掲載すると、当然不動産の場所(エリア)に
もよりますが、ものスゴい数の問合せが来ます。
経験からいいますと、20~30倍以上の数のメールと電話が鳴ります。
ただし、事故物件であることを告げると、その不動産の現地見学まで進むのは、40~50件に1件位です。
通常の売却物件の場合、問い合わせから4〜5割の人は、現地見学まで進みます。
かなり厳しいということになります。
しかし、購入理由が価格にありますので、物件を見て、条件に合えば、値下げ希望(値引)を出してきます。
その結果として、不動産の一般的な取引相場から30〜40%安い価格でなければ、なかなか売れないという状況になります。
ケースによりましては、もっと下がる場合もあります。
人が亡くなった物件を全て事故物件というわけではありません。
その目安を解説します。
不動産・事故物件とは?定義は?告知義務の期間はあるのか?
事故物件は、法律で分類されているわけではありません。
筆者のように不動産業を営んでいる業者でも、多少見解の違いがある場合もあります。
一般的に言われることは、物件の中で事件や事故・あるいは自殺などで亡くなった人がいる場合と変死の場合です。
変死といいますのは、病死・老衰死(自然死)ではない場合です。
病院通いをしていたなどの病歴が分かる場合は、死因が特定されやすいので、良いのですが、そうでない場合、
遺体を調べなければ何故亡くなったのか本当の死因が分かりません。
分からない場合、変死・あるいは心不全と分類されてしまいます。
不動産業者には、調査と説明という義務があります。
売主さんへの聞き取り、マンションの場合であれば、管理会社への聞き取りによって調査します。
そして、重要なのは、亡くなったのが、どこかということです。
家の中なのか、救急車なのか、病院なのかです。
家の中であれば、ありのままに告知します。
これが告知義務です。
法律上、事故物件の定義が明確にされていないのと同様に、告知義務の期間は定義されていません。
結局、その物件が事故物件なのか、そうでないかを決めるのは買主だからです。
不動産・事故物件を買うメリットは安いということ
事故物件を購入するメリットは、明快です。
不動産の価格が安い、ということです。
世の中には、事故物件を気にせずに購入する人は確かにいます。
気にしないで購入する人にとって、半額近い価格で購入出来ることは非常に大きいメリットです。
一昔前ですと、不動産を安く購入する方法として、「競売物件を買う」ことが一番でした。
しかし、最近は競売物件が値上がり(不動産業者以外に、一般ユーザーも競売物件を購入するケースが増えて、
価格上昇しています)しているため、不動産買取業者の中には、事故物件を集中的に買い取っている会社も
出てきています。
不動産・事故物件を買うデメリット
もしも、事故物件であることを知った上で、購入したが、事情が変わって売却しようとする場合に、
売主という立場になり「過去に人が変死(異状死)した」事を告知する義務が生じます。
「何年も前のこと」だから言わなくても良いのではないか、と判断したくなりますが、この基準が実は曖昧であり、
法律で制限されていません。
ネット上の情報では、「6年」「10年」などとの記載を見つけることも出来ます。
しかし、判例ではその地域に「うわさ」が残っている限りは、告知義務はあるとした判例もあります。
つまり、何年経過したら、告知しなくて良いと明言ができないのです。
最初に、「事故物件の不動産価格は相場から30%〜40%安くなる」と書きましたが、最悪の場合は、それでも
売れないということもあり得ます。
ですので、事故物件の場合、将来売却がスムーズに出来るかどうかのリスクがあることが、デメリットです。
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