住宅ローンを申し込んだが、回答まで時間がかかると不安になるものです。
もし住宅ローンが通らないと、当然不動産は購入でできないわけです。
ある程度事前に、知っておけば、不安も少なくなります。
筆者は約30年不動産業に従事してきました。
その経験から、住宅ローンの審査に関連することを解説します。
住宅ローンが通らない場合は、相談するか諦めるか
住宅ローンの審査が上手く通らないとき、不動産会社担当者と相談し、他銀行に住宅ローンの相談をするのはありです。
諦める人もいます。
しかし、事実として、金融機関の審査基準が別々にあります。
そして、更に事実として、他の銀行ではOKになることは、あります。
他銀行への相談の前に、不動産会社担当者に相談すべき
住宅ローンが通らない場合、考えられる要因はいくつかあります。
やみくもに、他銀行にローン相談をしてしまい、個人情報の確認に履歴が残ることは、あなたにとってあまり有益なことではありません。
まず、不動産会社担当者に相談してみましょう。
その上で、下記の点について確認してみて下さい。
・返済比率(ローンの返済額と年収との割合によって、通るか通らないかが決まる)
・健康状態(告知事項の内容によって、通らない)
・総合的判断(総合的判断によって、通らない)
また、住宅ローンが通らないケースの手前の段階で、「減額承認」があります。
希望通りの融資額までは承認されないが、住宅ローン借り入れ希望額から減額された住宅ローン金額で承認されるケースです。
この場合、自己資金を増額することで住宅ローン融資を受けることができます。
当然、通らない場合よりも、良い結果ですが、不足分を現金で用意する必要があります。
よくあるケースとしては、購入について親の同意が得られていれば、親が援助してくれる可能性があります。
住宅ローンが通る通らないの審査で、重視されるのは、以下のポイントです。
住宅ローンと収入との割合:返済比率
金融機関では、年収(総支給額)に対して、住宅ローンの返済額の割合を決めています。
年収に対して、年間返済額が、25%以内、30%以内、35%以内という基準を設定しています。
その割合に対する、年収の設定は、各金融機関によって異なります。
その基準を超えていると、住宅ローンの申し込みが通らない可能性が高くなります。
ただし、この基準は、単純計算的な数値基準ではない場合があります。
ですので、明らかな場合(借入額がオーバーしている場合、返済比率が非常に小さい場合)は別として、住宅ローンの申し込みをしてみないと、最終的に通るか通らないかは、分からないという判断になります。
その複合的な曖昧な基準としては、勤務先・勤続年数・自己資金の割合が、関係します。
また、返済比率の計算は、融資実行時の金利をベースに、計算をする金融機関がある一方で、審査用の金利で計算する金融機関もあります。
各金融機関によって、計算基準に違いがあることに注意してください。
住宅ローンが通らない場合は、この返済比率をオーバーしている可能性があります。
あるいは、他のローン(車など)が大きい場合にも、住宅ローンは通らないという結果=不承認となるケースがあります。
住宅ローン申し込み時点での健康状態
現在の住宅ローンのほとんどが、融資金額に対する団体生命保険の加入を必須にしています。
住宅ローンが通らないケースでは、住宅ローンの本申し込み書類に添付して提出する、団体生命保険の告知書に、判断が難しい事由が記載されていた可能性があります。
ですので、団体信用生命保険の告知書には、なるべく詳しく知る限りの事を記載するべきです。(病名や薬品名など)
曖昧な記憶で書いてしまったとしても、通らない結果が出てきしまうと、再度審査はしてもらえません。
経験上、判断が曖昧な場合、悪い結果(通らない)が出てしまう場合が多いです。
団体生命保険は、通常の生命保険と大きく違う部分があります。
まず、通常の生命保険は、年齢によって保険料が異なりますが、団体信用生命保険には、それがありません。
何歳の方でも、借り入れ金額を付保額として、同じ保険料が計算されます。
年齢が上の方にとっては、若い方と同じ保険料になりますので、有利です。
一方で、通常の生命保険のように、体の悪い部分には保証がつきませんという「部位不担保」という考え方がありません。
疑わしい部分がある場合は、原則「謝絶(通らない)」となります。
今の住宅ローンの制度では、団第生命保険に可能できることを条件に融資する制度になっています。
ですので、団体信用生命保険が「謝絶」の場合、原則住宅ローンは「否決」=住宅ローンは通らないという結果になります。
最近では、病状によっては、ワイド団信という制度があり、「死亡保障のみ」や「保険料分を金利に上乗せ条件つき」で住宅ローンも承認されるケースが増えています。
総合的判断
住宅ローンの審査条件には、「返済比率」「健康状態」の他に、「他借り入れ」「勤続年数」「勤務先」「自己資金」などがあります。
その他に、明確に文言化されていませんが、保証会社による「総合的判断」があります。
この総合的判断は、かなり複雑で曖昧です。
家族数による、実質生活費を返済比率に含める金融機関もあります。
勤続年数(会社員の場合で原則2年)が不足しているのに、承認が降りる場合もあります。
自己資金の割合が少ないことで、減額承認される場合もあります。
しかし、全てのお客さんに当てはまるわけでもありません。
ですので、不動産会社の営業担当も、最終的には、書類を揃えて出してみないと、住宅ローンは通るか通らないかがわからない、という場合があります。
住宅ローンが通らない場合、他の銀行に相談するのは有効!
金融機関は、自分の銀行で融資承認の判断をしているわけではありません。
基本的に、保証会社が承認するかどうかで決定しています。
この保証会社が、金融機関によって異なります。
ですので、A地銀で住宅ローンが通らないという結果になったのに、Bメガバンクで承認受けられる場合もあります。
保証会社は、個人情報調査をする会社にも違いがありますし、同じ会社を利用している場合でも総合的判断に、違いが出る場合があります。
ですので、住宅ローンの審査基準のどれかが、万全ではない場合は、最初の申し込み時点で、複数の金融機関に書類を提出し、一番結果条件の良かった金融機関を利用するという方法もあります。
お客さんによっては、通らない、という結果を受けてから、他の金融機関に申し込みという方もいます。
ただ、その場合、2つ目の金融機関でOKとなったのに、購入しようと考えていた物件が、ローン審査中に他のお客さんで、決まってしまう場合もあります。
ですので、不動産会社の担当から、アドバイスがあれば、複数の金融機関に申し込んだ方が良いです。
万が一、通らないという結果を受けてから、次の行動をしていると、間に合わなくなる可能性があります。
住宅ローンが通らない場合のまとめ
過去に、ガンになった経験があっても団信がOKになり、ローン承認となることもありました。
また過去にローン関連でトラブルになってしまった経験がある方でも、承認されることがありました。
また、告知の書き方が不十分であったために、ローンが通らないということも起きる可能性があります。
何か、ネガティブな要素がある場合、不動産会社を信頼して、相談することです。
住宅ローンが通らないかもしれないなどと自分自身で判断せずに、相談されるようにおすすめします。
通った後は、住宅ローンの管理ツールも、無料登録で使えるので、使えるように準備しておくのが良いです。
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