不動産会社社長が解説します。
不動産売却をしたら、翌年申告の必要があります、と言われましたでしょ。
しかし、実は、不動産申告をしなくてもいい場合もあるのです。
解説します。(あくまでも、個人の場合です。)
不動産売却をした場合、譲渡所得がプラスになれば、確定申告が必要
不動産を売却したときの所得は、「不動産譲渡所得」といいます。
不動産譲渡所得とは、「今回の不動産売却をした金額(売れた金額)」から、「物件を買ったときの取得金額(減価償却分を差し引いて)」と、「今回の売却にかかった金額(売買仲介手数料・測量費用など)」を差し引いた残りの金額のことです。
不動産譲渡所得=今回売却価格ー物件取得金額ー売却にかかった金額
上記の不動産譲渡所得がプラスになれば、確定申告は必要になります。
所得がマイナス=赤字の場合は、所得税は金はかかりません。
解説します。
不動産譲渡所得は、上記で示したとおりです。
簡単に言いますと、利益が出ているのかどうか、ということです。
次の今回売却価格についてです。
今回、不動産の売却の売買契約をしています。
その契約書に記載された、「売れた金額」のことです。
次の物件取得費は別に少し説明をいたします。
物件取得費
物件取得費とは、文字が示すとおり、今回の売却した不動産を取得(購入)した金額です。
しかし、売却が今回であり、取得したのが仮に20年前であれば、20年間ずっと同じ価値で有り続ける事はありませんね。
その価値はだんだんと減ってきます。
減価償却
そして、今回の売却の”時”に、いくらの価値が残っているかの計算が必要になります。
そこで、減価償却という計算をします。
そして、木造の建物とコンクリートの建物、また鉄筋コンクリートの建物とでは、何年間で価値がなくなるかの年数が異なります。(購入時の10%の価値になるまで)
この年数を法定耐用年数といいまして、構造の材質により定められています。
事業用か非事業用か
そして、自分で住む場合の自己居住の建物(非事業用)か、事業に使われる建物(事業用)なのかによっても、耐用年数の基準は異なります。
そして、もともとは自分で住むために購入した物件であっても、状況の変化により、自分ではすまず、他人に貸して家賃を受領している場合は、事業用としての区分になります。(セカンドハウスの場合の区分は非事業用)
例えば、木造建物で事業用の場合は、耐用年数は22年(事業の種類によっては、最短7年)と定められています。
同じく木造で非事業用の場合、耐用年数は33年になります。
この減価償却分を、購入時の価格から差し引いたものを物件取得費と言います。
売却した時点の”時”と物件の現在価値の”時”を合わせるためです。
今回売却にかかった金額(諸費用)
次に売却にかかった金額についてです。
まず不動産会社に支払う仲介手数料があります。
ほかには、土地の場合、測量費用が発生する場合があります。
もともとは、測量されており、境界石もあったはずですが、何年もの間に、地中深く沈んでしまったり、除雪作業等で損壊してしまったりなど、境界標を示すものがない場合、測量が必要です。
これは、土地を売買する商品と考えると、形が明確に示されていないものは、商品として血管がある状態になりますので、売主の責任と負担で、新たに測量をするのが、一般的です。
他には、老朽化した家を解体するための費用も、売却にかかった金額に含めることもできます。
国税庁の通達では、次の金額が売却にかかった金額煮含めることができるとされています。
- 売却のために、不動産会社に支払った仲介手数料
- 売買契約書に貼付した印紙代
- 人に貸している場合に、立ち退いてもらうためにかかる費用
- 古屋を解体する費用
- 一旦契約をした後に、別の好条件の人と契約するための、先の契約に対する違約金
- 借地を売る場合にかかる地主の承諾をもらうための費用
売却にかかった金額に、含めることができない費用もあります。
リフォーム費用、固定資産税などの、資産を維持する・管理するためにかかってきた費用は含まれません。
譲渡所得がマイナスでも確定申告をすべきケース
マイホーム(自己居住)の売却の場合で、不動産譲渡所得がマイナスの場合、譲渡損失となります。
居住用財産の譲渡損失は、他の給与所得等と損益通算をすることができます。
また、単年で控除しきれない損失額は、翌年以降3年間繰越できる。
そのためには確定申告が必要です。
ただし、売却時点で、住まなくなってから他人に賃貸していた場合は該当しない。
このケースでは、購入した時点では、マーホームとしての購入しています。
ただ、転勤などにより、住まなくなってから、他人に貸してしまった場合、その物件はマイホーム物件ではなくなります。
賃料という収益を得ている不動産、つまり収益物件に変わってしまっています。
収益物件は、自己居住用ではなく、不動産投資物件に変わっています。
事業用物件となります。
基本原則として、確定申告が必要になります。
ただし、損益がマイナスの場合は、申告の必要がありません。
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