親記事で「読書レポートの最後は結論を書く」と述べられていますが、多くの学生が結論の部分で「感想」を書いてしまい、評価が下がります。これは「結論と感想の本質的な違い」と「結論で教授が評価する具体的なポイント」が理解されていないからです。
本記事では、結論がなぜ感想ではいけないのか、そして教授が結論のどこを見て評価するのかを詳しく解説します。この理解があると、単なる「まとめ」ではなく、学術的な価値を持つ結論が書けます。
結論と感想の本質的な違い
読書レポートを提出する際、多くの学生が陥る最大の誤りは「結論欄に感想を書く」ことです。結論と感想は、どちらも「レポート後半に置かれる」という表面的な類似性があるため、混同されやすいのです。しかし、その機能と役割は全く異なります。
感想とは「個人の感覚的な反応」
感想は、本を読んで「どう感じたか」という個人の感情的な反応です。「感動した」「面白かった」「つまらなかった」という類の、主観的で個人的な判断が感想です。感想には客観的な基準がありません。誰もが異なる反応を持つことが当たり前だからです。
感想は「読書を通じた自分の心情変化」を述べるものです。つまり、「何を学んだか」ではなく「どう感じたか」が中心なのです。
結論とは「論理的な推論と根拠に基づく総括」
一方、結論は「本文で述べた分析や考察の論理的な帰結」です。本文で「著者は〇〇と主張している」「それに対して△△という問題点がある」と述べたなら、結論では「したがって、著者の主張は〇〇の点で妥当性を持つが、△△の改善が必要である」というように、論理的に統合した判断を述べるのです。
結論は「本文の分析に基づいた学問的な判断」です。つまり「何を理解・分析したか」が中心なのです。
比較表:感想と結論
| 観点 | 感想 | 結論 |
|---|---|---|
| 根拠 | 個人の感情 | 本文の分析と論理 |
| 主観性 | 高い | 低い(根拠に基づいている) |
| 一般性 | ない(個人限定) | ある(論理が妥当なら普遍的) |
| 示す内容 | 「自分がどう感じたか」 | 「著作・テーマについて何が言えるか」 |
| 学術的価値 | なし | あり |
教授が結論で評価する5つのポイント
読書レポートの結論で教授が実際に評価するのは、「いかに本文の分析を論理的に総括したか」という一点です。以下の5つのポイントで評価されます。
ポイント1:本文の主張を正確に反映しているか
最初のポイントは「結論が本文の内容と一貫しているか」です。本文で「著者の矛盾点は〇〇である」と述べているなら、結論でも同じ矛盾点が言及されるべきです。
本文と結論が異なることを述べていると、教授は「この学生は自分の分析を理解していない」と判断します。実は、本文をしっかり分析できていない場合、結論はしばしば本文と無関係な内容になってしまうのです。
ポイント2:個人の感情ではなく学問的判断が述べられているか
次のポイントは「感想になっていないか」です。「この本は素晴らしい」「著者の思想に感動した」といった表現があると、それだけで「結論ではなく感想である」と評価されます。
代わりに、「著者の論拠は〇〇の点で強固であるが、△△の根拠が不十分である」というように、客観的な分析に基づいた判断が求められます。
ポイント3:本文で提示した根拠が結論に反映されているか
3番目のポイントは「結論が本文の具体的な事例や根拠を参照しているか」です。例えば、本文で「第3章での著者の主張は矛盾している(p.45の記述と p.87の記述が対立している)」と述べたなら、結論でも「この矛盾は著者の論理構造における根本的な問題を示唆している」というように、具体的な根拠に基づいた判断を述べるべきです。
単に「矛盾がある」と結論に書くのではなく、「どの部分の矛盾か」が結論にも明示される必要があります。
ポイント4:本のテーマや課題と結論が関連しているか
4番目のポイントは「結論が課題と乖離していないか」です。例えば「著者の社会階級論における矛盾点を指摘せよ」という課題なら、結論も「社会階級論」に関わる内容である必要があります。
結論が「著者の文体が優雅である」といった無関係な内容になっていると、課題に対する理解がないと判断されます。
ポイント5:今後の研究課題や応用可能性に言及できているか
最後のポイントは「発展性があるか」です。高度な読書レポートでは、結論で「著者の論理の限界は〇〇にあるが、今後は△△のような研究が必要である」というように、その分析から導き出される課題や応用可能性に触れます。
これは必須ではありませんが、あると評価が高くなります。
実例:感想と結論の違い
具体的な例を通じて理解しやすくしましょう。ある哲学書を読んだレポートを想定します。
感想の例(評価されない):
本書を読んで、著者の人間観に深く感銘を受けました。人間とは何かについてこれほど深く考察した著作は珍しく、著者の洞察力に驚きました。この本を多くの人に勧めたいと思います。
このような記述は「個人の感情」を述べたものです。「感銘を受けた」「驚いた」「勧めたい」といった表現が、その証です。
結論の例(評価される):
本書の人間観は、伝統的な本質主義的人間観に対して、存在論的な新しい視点を提供している。著者は第2章で「人間は本質に先立つ」という論拠として(p.34)と(p.56)の二つの歴史的事例を挙げている。しかし、この論拠は〇〇という限界を有する。今後の課題は、この限界を克服しうるような〇〇の領域での研究であると考える。
このような記述は「著作に対する学問的分析」です。「〇〇という視点」「〇〇という論拠」「〇〇という限界」といった客観的な分析項目が明確です。
結論を感想にしてしまう原因
結論が感想になってしまう主な原因は、学生が「結論とは、本全体の感想をまとめるもの」という誤った理解を持っていることです。
実は、結論は「本全体への感想」ではなく「本全体の分析的総括」なのです。つまり、結論を書く時点では、感想ではなく「分析」が必要なのです。この切り替えができていない学生が、結論欄で感想を述べてしまうのです。
もう一つの原因は、本文で充分に分析ができていない場合です。本文で分析が不十分なら、結論では「その不十分な分析をもとに、感想的に述べるしかない」という状態になってしまいます。
親記事との関連
親記事「読書レポートはテンプレートで書くと読み手が分かりやすくなる」では、「読書レポートの最後は結論を書く」と述べられており、結論が全体の10%程度の配分で置かれることが示されています。
結論の基本的な位置づけと機能については、親記事で理解できます。本記事は、その結論の「内容的な質」を高めるためのポイントを補完するものです。
まとめ
結論と感想の最大の違いは、「個人の感情」か「学問的な分析」かという一点です。読書レポートの結論は、決して「本を読んだ後の気持ち」ではなく、「本の内容を分析した上での学問的判断」である必要があります。
教授が評価するのは、本文の分析が結論に正確に反映され、かつそれが論理的に統合されているかという点です。感想を排除し、分析的な視点を保つこと—これが読書レポートの結論を「評価される文章」に変える唯一の方法です。
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