レポートや論文の要旨を書く際、「研究の背景をどこまで詳しく説明すべきか」「手法の詳細はどこまで省いていいのか」と悩む方は非常に多いです。要旨は単なる「短縮版」ではなく、そのレポートの価値を最小限の言葉で伝える「看板」の役割を果たします。
特に背景(導入)部分を書きすぎてしまうと、最も重要な「結果」や「結論」を記述するスペースがなくなってしまうという致命的なミスに繋がります。
この記事では、レポート要旨における背景と方法の適切なボリュームや、不要な情報の見極め方、そして洗練された要旨に仕上げるためのコツをームで徹底解説します。
1. 要旨における「背景」の役割と適切なボリューム
要旨の冒頭にくる「背景」は、読み手を本題へ導くためのガイドです。しかし、ここでは専門知識を網羅する必要はありません。
背景は「社会的な問題」よりも「本レポートの問い」に絞る
よくある失敗は、世界情勢や歴史的な経緯など、あまりに広すぎる背景(社会的背景)を書いてしまうことです。要旨において必要なのは、「本レポートで解決しようとしている具体的な問題(学術的背景)」だけです。
- NG: 現代社会においてインターネットは不可欠な存在となり、多くの人が利用している。……(広すぎる)
- OK: インターネット広告の急増に伴い、若年層の購買意欲への影響を解明する必要がある。……(具体的)
ボリュームは全体の「15%〜20%」が目安
要旨の文字数が400字であれば、背景に割くのは60字〜80字程度です。たった1〜2文で「今、何が問題で、なぜこのレポートが必要なのか」を言い切る勇気を持ちましょう。
2. 「方法(手法)」はどこまで詳細に書くべきか
「方法」のセクションも、詳細を書き込みすぎて失敗しやすい項目です。要旨における手法の記述には、明確な「引き算」の視点が必要です。
「何をしたか」を書き、「どう操作したか」は省く
分析ツールの細かな設定や、アンケートの設問内容、実験器具の型番などは、本文の「方法」セクションで詳しく述べるべき事柄です。要旨では、以下の3点に絞って記述します。
- 対象: 誰(何)を調べたか
- 期間・規模: いつ、どの程度の範囲で実施したか
- 分析軸: どのような視点で比較・検討したか
独自の手法がある場合のみ厚く書く
もし、あなたのレポートの価値が「新しい分析手法を開発したこと」にあるならば、方法は少し詳しく書く必要があります。しかし、一般的な手法(先行研究と同じやり方)を用いている場合は、「〇〇の手法を用い、△△を分析した」と一言で済ませるのが鉄則です。
3. 要旨の背景が「不要」になる判断基準
すべての要旨に手厚い背景が必要なわけではありません。以下の場合は、背景を極限まで削る、あるいはゼロにしても問題ありません。
提出先(評価者)が背景を熟知している場合
特定の授業課題などで、クラス全員が同じテーマで書いている場合、共通の背景を長々と説明するのは「字数の無駄」になります。その場合は背景を1文に留め、自分の分析の独自性から書き始めましょう。
文字数制限が極端に厳しい場合(200字以内など)
文字数が非常に少ない場合は、背景を省き、いきなり「本レポートの目的(問い)」からスタートします。背景は目的の中に「〜という現状を鑑み、本レポートでは……」と組み込む形で処理します。
4. 背景と方法を洗練させ、要旨の質を高める3つのテクニック
情報を削りながらも、説得力のある要旨にするための実践的な文章術です。
「接続詞」を整理して文を繋げる
「〜という背景がある。そのため、本研究では……」とするのではなく、「〜という課題に対し、本研究では……」と繋げることで、背景と目的を一気に記述できます。これにより、結果と結論に割ける文字数を確保できます。
名詞化(体言止め)を適度に取り入れる
「アンケート調査を実施した」を「アンケート調査により」とするなど、動詞を名詞的に扱うことで、方法の記述をコンパクトに圧縮できます。
結論から逆算して「必要な背景」だけを残す
要旨を書き終えたら、一度「結論」を読み返してください。その結論を導き出すために、最初に見せておかなければならなかった「前提条件」だけが、本当に必要な背景です。結論に関係のない背景は、すべて削除の対象です。
要旨の基本構成や具体的な例文を再確認する: 背景と方法の絞り方をマスターしたら、要旨全体の流れや「結果・結論」のまとめ方についても復習しておきましょう。具体的な書き方と例文については、レポートの要旨の書き方:例文つきでわかりやすく解説をあわせて参考にしてください。
まとめ:背景と方法は「目的」を引き立てるための脇役
要旨の主役は、あくまであなたの分析結果とそこから導き出された結論です。背景と方法は、その主役を舞台に上げるための「階段」に過ぎません。
階段が長すぎて、主役が登場する頃には観客(読み手)が疲れてしまっては本末転倒です。背景は最小限に、方法は簡潔に。このバランスを守ることで、あなたのレポートの価値はより鮮明に、より強力に読み手に伝わるようになります。
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