「看護の力」は、現代社会における看護の役割とその重要性を掘り下げた岩波新書の一冊です。この本では、看護師が直面する多様な状況や課題に焦点を当て、看護が人々の健康、福祉、そして生活の質の向上にどのように貢献しているかを詳細に論じています。
また、医療現場だけでなく、地域社会や家庭における看護の役割も探求し、看護師の専門性や倫理観がどのように社会全体の支えとなっているかを明らかにしています。この書籍は、看護職に興味のある人、医療分野に携わる専門家、そして一般読者にとっても有益な知識を提供します。
「看護の力」の作品情報
書籍名:看護の力
著者名:川嶋みどり
出版社:岩波書店
発行年月:2012年10月20日
「看護の力」の著者情報
本書の著者である川嶋みどりは、1951年に日本赤十字女子専門学校を卒業後、日本赤十字社中央病院での勤務を経て、中野総合病院看護婦教育顧問などを歴任しました。1982年より健和会臨床看護学研究所の所長として、2003年から2011年まで日本赤十字看護大学の教授(2006年から2010年は看護学部長)を務めるなど、看護教育と実践において長年にわたり貢献してきました。
2023年現在も日本赤十字看護大学の名誉教授として活躍しています。第4回若月賞(2003年)、第41回フローレンス・ナイチンゲール記章(2007年) 等の受賞歴もお持ちの方です。
「看護の力」の要約
「看護のちから」は、川嶋みどり著、岩波新書から2012年に出版された書籍です。この本は、人間が本来持つ自然に治る力を最大限に引き出すことを看護の本質として捉え、長年の看護経験から得た知識と技術を共有しています。
主な内容とテーマ
- 看護の本質: 人間が持つ自然治癒力を引き出し、人間らしく生きるための普通の暮らしを整えるケアが看護の根本であると説いています。
- 具体的な看護技術: 胃瘻や床ずれ対応、下の世話や代用入浴の心得など、具体的な看護技術についても触れており、現役看護師として60年の経験から得た心と技の真髄を伝えています。
読者へのメッセージ
- 看護の重要性: 看護は単に医療技術の提供だけではなく、患者の心身の健康を総合的にサポートすることであり、そのためには看護師自身の人間性や思いやりが重要であることを強調しています。
- ナイチンゲールの言葉: ナイチンゲールの「自己犠牲を伴わない献身こそ真の奉仕」という言葉を引用し、看護師としての使命感や社会への貢献について考察しています。
この本を通じて、看護師や医療従事者だけでなく、一般の人々にも看護の大切さや、人間らしい生活を支える看護の力について理解を深めてもらえることでしょう。
看護に関心がある方や、看護師を目指す方にとって、貴重な知見とインスピレーションを提供する一冊です。
「看護の力」の200字要約
「看護のちから」は、人間の自然治癒力を引き出し、普通の暮らしを整えるケアが看護の本質であると説きます。具体的な看護技術やナイチンゲールの言葉を通じて、看護の重要性や使命感について考察し、看護師や医療従事者だけでなく一般の人々にも理解を深めることを目指しています。
「看護の力」の要点
『看護の力』で述べられている要点は、以下の通りです:
- 看護の歴史と現状: 看護の草創期から現代に至るまでの変遷と、戦争、戦後の改革が看護にもたらした影響を検討します。看護師が直面する現代の課題、特に新人看護師の戸惑い、職場環境の問題、慢性的な人手不足の影響についても触れます。
- 基本的なケアの重要性: 日常生活に必要な基本的ケア、例えば食事、清潔、排泄といった生活の質を支える看護の重要性を強調します。
- 人間らしく生きることを支えるケア: 身だしなみ、コミュニケーション、趣味や学習活動の支援を通じて、患者の社会的・精神的な健康を促進する看護の役割を探ります。
- 医学・医療の現実との向き合い方: 医学の進歩がもたらした人間の細分化、救命・延命措置の倫理的問題、患者中心の思想など、医療現場での看護師の立場と責任について考察します。
- 自然治癒力を高める看護: 患者自身の治癒力を引き出すための看護のアプローチ、姿勢や浴療、温熱療法、看護音楽療法など、身体的な健康だけでなく心の健康にも配慮したケアの方法を示します。
- 予防の重要性: 高齢者の肺炎予防や床ずれの予防など、予防を看護の真髄と捉え、疾病の発生を未然に防ぐための看護の役割を強調します。
この書籍は、看護師の仕事が単なる医療行為の補助ではなく、患者の人間としての尊厳と生活の質を高めるための重要な役割を果たしていることを明らかにし、看護の社会的価値と専門性を再確認させる内容となっています。
「看護の力」の感想
川嶋みどり著『看護の力』(岩波新書)を読みました。本書は、看護師として長年活躍してきた著者が、看護の本質とは何かを問いかけた一冊です。
著者は、看護とは単に病気を治すことではなく、人が人間らしく生きるために必要な力を引き出すことだと主張します。そのためには、患者一人ひとりの心身に寄り添い、そのニーズを丁寧に察知することが重要です。
本書では、具体的な事例を交えながら、看護のさまざまな側面が紹介されています。例えば、入院患者の食事介助や排泄介助、終末期患者のケアなど、看護師が日々行っている仕事について詳しく説明されています。
また、看護師自身の心身の健康についても触れられています。患者と深く関わる仕事であるだけに、看護師は常にストレスを抱えています。そのため、自分自身をケアすることも大切だと著者は説いています。
本書を読んだ私は、看護という仕事に対する理解が深まりました。看護師は単に医療従事者というだけでなく、患者の生活を支える重要な存在であることを改めて認識しました。
看護に興味がある人だけでなく、人間とは何か、生きるとは何かについて考えたい人にもおすすめの一冊です。
以下、本書を読んで私が特に印象に残ったポイントをいくつか挙げます。
- 看護とは、人が人間らしく生きるために必要な力を引き出すこと
- 患者一人ひとりの心身に寄り添い、そのニーズを丁寧に察知することが重要
- 看護師自身の心身の健康も大切
本書は、看護の仕事について深く考えさせてくれる一冊です。看護に興味がある人だけでなく、人間とは何か、生きるとは何かについて考えたい人にもおすすめです。