岩田規久男氏の著書「景気ってなんだろう」は、景気や経済循環について一般の人にもわかりやすく解説した入門書です。
本書は、経済学の専門知識がない人でも、景気や経済の仕組みを理解できるように工夫されています。身近な事例を交えながら、マクロ経済の基本概念を平易に解説しているのが特徴です。
「景気ってなんだろう」の作品情報
書籍名:景気ってなんだろう
著者名:岩田規久男
出版社:筑摩書房
発行年月:2008年10月1日
「景気ってなんだろう」の著者情報
岩田規久男氏のプロフィールと代表作について以下の通りです。
プロフィール
- 1950年生まれ。東京大学経済学部卒業後、日本銀行入行。
- 日本銀行調査統計局、情報サービス局を経て、1986年よりワシントンD.C.の国際通貨基金(IMF)エコノミストを務める。
- 1992年日本銀行復帰後、調査統計局参事、企画室長等を歴任。
- 2001年から2003年まで日本銀行政策委員会審議委員を務める。
- 2003年慶應義塾大学経済学部教授に就任。2015年退職。
- 専門は金融政策、マクロ経済学。金融政策の理論と実際両面に精通した経済学者として知られる。
主な著書
- 「景気ってなんだろう」(2005年、日本経済新聞社) – 一般向けに、景気の基本的メカニズムを平易に解説。
- 「デフレの経済学」(2001年、東洋経済新報社) – 日本の長期デフレの原因と処方箋を分析。
- 「昭和恐慌の研究」(1989年、東洋経済新報社) – 1920年代の金融恐慌を理論・実証両面から考察。
- 「ゼロ金利との闘い」(2003年、日本経済新聞社) – 日銀政策委員時代の金融政策運営の舞台裏を証言。
- 「日本銀行」(1993年、岩波新書) – 日本銀行の組織や政策決定プロセスを内部から解説。
以上が、岩田規久男氏のプロフィールと代表的な著作の概要です。金融政策の理論と実務の両面に精通した経済学者として、デフレ脱却や金融政策のあり方について提言を続けてきた方として知られています。
「景気ってなんだろう」の要約
「景気ってなんだろう」は、経済学者の岩田規久男氏が、一般の読者向けにマクロ経済学の基本概念である「景気」について解説した書籍です。主な内容は以下の通りです。
景気とは何か
- 景気の定義と測定方法
- 景気循環のメカニズム
国民所得の三面等価
- 支出面、分配面、生産面からの国民所得の捉え方
- 三面等価の意味と経済分析における重要性
景気の決定要因
- 需要と供給のバランスによる景気の決定
- 総需要と総供給の分析
金融政策と景気
- 金融政策のメカニズムと効果
- マネーストックと景気の関係
財政政策と景気
- 財政政策のメカニズムと効果
- 乗数効果と景気刺激策
国際経済と景気
- 為替レートの変動と景気への影響
- 経常収支と景気の関係
日本経済の景気動向
- バブル経済とその崩壊
- デフレーションと景気対策
本書は、マクロ経済学の基礎知識を平易な言葉で説明し、日本経済の事例を交えながら景気のメカニズムを解き明かしています。経済学の初学者にも理解しやすい内容となっており、景気について体系的に学ぶための入門書として評価されています。
「景気ってなんだろう」の200字要約
「景気ってなんだろう」は、景気の定義や測定方法、景気循環のメカニズムを解説。国民所得の三面等価、需要と供給、金融・財政政策が景気に与える影響を分析。日本経済の事例も交えながら、マクロ経済学の基礎を平易に説明した入門書。
「景気ってなんだろう」の要点
「景気ってなんだろう」の要点は以下の通りです。
- 景気とは、経済活動の拡大と収縮を繰り返す循環的な変動のことを指す。
- 景気の測定には、GDP、鉱工業生産指数、失業率などの経済指標が用いられる。
- 国民所得は支出面、分配面、生産面の三面から捉えることができ、それぞれが等しくなる三面等価の関係が成り立つ。
- 景気は、総需要と総供給のバランスによって決定される。
- 金融政策は、マネーストックの調整を通じて景気に影響を与える。
- 財政政策は、政府支出と税収の調整によって景気を刺激したり抑制したりする。
- 国際経済における為替レートの変動や経常収支の状況も景気に影響を及ぼす。
- 日本経済は、バブル経済とその崩壊、長期のデフレーションに見舞われるなど、景気変動の歴史を持つ。
以上が、「景気ってなんだろう」の主要な論点です。本書は、これらの概念を平易に解説することで、読者がマクロ経済学の基礎を理解し、景気について自分なりの考えを持てるようになることを目的としています。
「景気ってなんだろう」の感想
私は「景気ってなんだろう」を読んで、非常に興味深く、有益な内容だと感じました。
岩田規久男氏は、マクロ経済学の専門家でありながら、一般の読者にも分かりやすく景気のメカニズムを解説しています。経済学の初学者である私にとって、この本は景気について体系的に学ぶための優れた入門書となりました。
特に、国民所得の三面等価や総需要・総供給モデルについての説明は、経済の全体像を捉える上で非常に有益でした。また、金融政策や財政政策が景気に与える影響について、具体的な事例を交えて解説されている点も理解の助けになりました。
日本経済の歴史的な景気変動についての記述は、バブル経済期やデフレーション期の経済状況を振り返る上で興味深いものでした。
全体を通して、難解になりがちなマクロ経済学の概念を、一般の読者にも分かりやすく説明するという著者の意図が感じられる好著だと思います。経済学を学ぼうとする初学者や、景気について自分なりの理解を深めたいと考える人にとって、お薦めの一冊だと感じました。
もちろん、より高度な経済理論を学ぶためには、さらに専門的な書籍を読む必要がありますが、入門書としてはこの上ない良書だと私は考えています。
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