要約は、小学生から大学生まで学習や研究に欠かせない技術です。文章の内容を短くまとめることで、情報を整理し、効果的にコミュニケーションすることができます。
本記事では、要約の基本的な書き方から、本や論文、看護、小論文での活用法まで、例を交えながらわかりやすく解説します。文章の種類や目的に応じて要約の書き方を使い分け、日頃から練習を重ねることが上達への近道となるでしょう。
要約の基本的な書き方
要約とは、文章の内容を短くまとめることです。要約を書くときは、以下の手順に従います。
1. 原文を読み、主題と要点を把握する
まず、文章全体を通して読み、著者が伝えたいメインテーマを理解します。例えば、「かぐや姫」という物語の主題は、「永遠の命を求める姫の物語」といったところでしょう。
2. 重要な情報とそうでない情報を区別する
次に、各段落の中から重要なポイントを見つけます。「かぐや姫」なら、「月からきた姫」「難題」「帰還」などがキーワードになります。一方、竹取物語の細かい描写などは、要約では省略できます。
3. 自分の言葉で要点をまとめる
抽出したポイントを、自分の言葉でまとめます。以下のような要約文ができあがります。
「竹取物語」は、月からきた姫が、難題を乗り越えたすえに月に帰還するという物語です。
4. 結論や自分の意見は含めない
要約は、あくまで原文の内容をまとめるものです。自分の意見や感想は、別に書くようにしましょう。
要約の書き方の例
要約の具体的な書き方を、「ももたろう」を例に見てみましょう。
原文
むかし、ある所におじいさんとおばあさんが住んでいました。おじいさんは山へ芝刈りに、おばあさんは川へ洗濯に行きました。おばあさんが川で洗濯をしていると、大きな桃が流れてきました。おばあさんは桃を家に持ち帰り、おじいさんと一緒に食べようとナイフを入れると、中から赤ちゃんの男の子が出てきました。二人は子供に恵まれなかったので、その子を大切に育てることにしました。
要約の例
「ももたろう」は、子供のいないおじいさんとおばあさんが、川に流れてきた桃から生まれた赤ちゃんを育てる話です。
このように、物語の核心をコンパクトにまとめるのが、要約のコツです。
まとめの解説
要約の書き方のポイントをまとめると、以下のようになります。
- 原文を読み、主題と要点を把握する
- 重要な情報とそうでない情報を区別する
- 自分の言葉で要点をまとめる
- 結論や自分の意見は含めない
日本の昔話を例に出しましたが、この方法は小説、論文、ニュース記事など、あらゆる文章の要約に応用できます。普段から要約する練習を積むことで、文章の内容を素早く理解し、まとめる力が身につくでしょう。
本や論文の要約の書き方
本や論文を要約するときは、以下の手順で進めます。
1. 全体を通して読み、構成を理解する
まず、本や論文を最初から最後まで通して読みます。章立てや段落構成に注目し、全体の流れを把握しましょう。
例えば、夏目漱石の「坊っちゃん」なら、主人公の教師としての奮闘と成長が描かれています。
2. 各章または段落ごとに要点をノートにまとめる
次に、各章や段落ごとに、重要なポイントをノートにメモします。
「坊っちゃん」の場合、以下のようなポイントが挙げられます。
- 主人公の性格と背景
- 赴任先の学校の様子
- 同僚との対立
- 生徒との関わり
- 恋愛模様
3. ノートを基に、全体の流れを意識して要約を書く
ノートを見ながら、全体の流れを意識して要約を書きます。各章や段落の要点をつなぎ合わせ、一つの文章にまとめていきます。
「坊っちゃん」は、正義感の強い主人公が、教師として赴任した学校で、同僚や生徒との関わりを通じて成長していく物語です。
4. 必要に応じて、引用や参考文献を明記する
論文を要約する際は、引用した部分や参考にした文献を明記します。これは、剽窃を避け、原著者の功績を認めるためです。
先行研究の要約の書き方
大学のレポートでは、先行研究の要約が求められることがあります。
- 原著者の主張と根拠を正確に理解する
- 研究の目的、方法、結果、結論を要約する
- 自分の研究との関連性を明確にする
例えば、心理学の論文を要約する際は、以下のような形になります。
Smith et al.(2020)は、〇〇大学の学生を対象に、××が□□に与える影響を調査した。その結果、××が多いほど、□□が向上することが明らかになった。この知見は、今回の研究で△△を考察する上で重要な示唆を与えるものである。
本や論文の要約の書き方のまとめ
本や論文の要約は、以下の手順で進めます。
- 全体を通して読み、構成を理解する
- 各章または段落ごとに要点をノートにまとめる
- ノートを基に、全体の流れを意識して要約を書く
- 必要に応じて、引用や参考文献を明記する
先行研究を要約する際は、原著者の主張を正確に理解し、自分の研究との関連性を明確にすることが大切です。
本や論文を要約する力は、小学生の読書感想文から、大学生の研究まで、幅広く役立ちます。日頃から多くの本や論文に触れ、要約する練習を積むことが上達への近道と言えるでしょう。
日々の看護記録を丁寧に要約する習慣をつけることで、看護の質の向上につなげましょう。
大学生必見!要約の書き方(レポートや本の要約)の例
大学生活では、レポート作成や研究に欠かせない「要約」のスキルが求められます。ここでは、レポートや本を要約する際の基本的な書き方と、具体的な例を示しながら解説します。
レポートの要約方法
レポートを要約する際は、以下の手順で進めましょう。
- レポートの目的や結論を把握する
- 各章の要点をノートにまとめる
- 要点をつなぎ合わせ、簡潔な文章にまとめる
- 必要に応じて、引用や参考文献を明記する
例えば、「日本における高齢化社会の課題と対策」というレポートを要約する場合、以下のようになります。
本レポートでは、日本の高齢化社会の現状と課題を分析し、対策を考察した。現状では、高齢者の単独世帯の増加や介護人材の不足など、様々な問題が生じている。今後は、地域コミュニティの強化や介護ロボットの導入など、多角的な対策を講じることが重要である。
本の要約方法
本を要約する際は、以下の手順で進めましょう。
- 本の主題と要点を理解する
- 各章の要旨をノートにまとめる
- 全体の流れを意識して、要旨をつなぎ合わせる
- 著者の主張や結論を盛り込む
例えば、夏目漱石の「こころ」を要約する場合、以下のようになります。
「こころ」は、先生と呼ばれる男性が、自身の過去を告白する物語である。先生は、友人Kを裏切ったことに悩み、その罪悪感から逃れられずにいた。また、先生と語り手の関係を通して、近代日本の知識人の孤独や葛藤が描かれている。
要約のコツ
要約力を高めるコツは、日頃から多くの文章に触れ、要点をつかむ練習を積むこと。本を読んだら要約してみる、新聞記事を要約してみるなど、習慣づけることが大切です。
また、要約は、情報を整理し、効率的に知識を吸収するための重要なスキルです。レポート作成や研究に役立つだけでなく、社会に出てからも、ビジネス文書の要約など、様々な場面で活用できます。
要約は、ものごとの本質を見抜く力を養うことにもつながります。例えば、料理でいえば、様々な食材を組み合わせて一つの味を作り上げるようなものです。素材の個性を生かしつつ、全体としてのバランスを取ることが重要なのです。
大学生の要約のまとめ
レポートや本の要約は、以下の手順で進めます。
- 目的や主題を把握する
- 各章の要点をノートにまとめる
- 要点をつなぎ合わせ、簡潔な文章にまとめる
- 必要に応じて、引用や参考文献を明記する
情報を取捨選択し、essence(本質)を掴む力。それこそが、大学生に求められる要約力なのです。日頃から多くの文章に触れ、要点をつかむ練習を積むことで、要約力を高めていきましょう。
小論文での要約の活用法
小論文を書くとき、課題文の要約から始めると、論理的な文章が書きやすくなります。以下の手順で、要約を活用しましょう。
1. 課題文の主張と根拠を要約する
まず、課題文の主張と、その根拠となる事実や例を簡潔にまとめます。
例えば、「SNSが人間関係に与える影響」という題であれば、以下のような要約ができます。
課題文では、SNSが人間関係を広げる一方で、直接会話する機会を減らし、コミュニケーション能力を低下させる可能性があると指摘されています。根拠として、SNSを頻繁に使う人ほど、対面での会話を苦手とする傾向があるという調査結果が示されています。
2. 自分の意見を述べる前に、課題文の内容を簡潔に紹介する
小論文の冒頭で、課題文の要約を示すことで、読み手に背景を伝えることができます。
SNSが人間関係に与える影響について、課題文では、SNSの利用がコミュニケーション能力の低下につながる可能性が指摘されています。
3. 要約した内容を基に、自分の考えを展開する
課題文の主張を踏まえて、自分の意見を述べます。その際、要約で触れた点に言及すると、論旨が明確になります。
確かに、SNSの過度な使用は、直接会話する機会を減らし、コミュニケーション能力を低下させる恐れがあります。しかし、SNSを適切に活用することで、遠方の友人や家族とのつながりを維持したり、新たな人間関係を築いたりすることもできます。大切なのは、SNSと直接会話のバランスを取ることです。SNSを便利なツールとして使いつつ、face-to-faceのコミュニケーションも大切にすることが、健全な人間関係を築く上で重要だと考えます。
小論文の要約の書き方の例
それでは、実際の小論文の課題文を要約してみましょう。
課題文
近年、日本では国際化が進み、多くの外国人が働いています。一方で、外国人労働者の受け入れをめぐっては、さまざまな問題も指摘されています。外国人労働者の受け入れについて、あなたの考えを述べなさい。
要約の例
課題文では、日本における外国人労働者の増加に伴う問題点が示されています。国際化に伴い、外国人労働者は増えていますが、その受け入れについては課題があるようです。
小論文の例
外国人労働者の受け入れについては、課題があることは事実です。言葉や文化の違いから、コミュニケーションの問題が生じることがあります。また、雇用条件や社会保障の面でも、不公平が生じる場合があります。
しかし、少子高齢化が進む日本では、外国人労働者の力は欠かせません。特に、介護や建設、農業など、人手不足が深刻な分野では、外国人材の活躍が期待されています。
大切なのは、外国人労働者を単なる労働力としてではなく、一人の人間として受け入れることです。言葉や文化の壁を乗り越えるための支援を充実させ、公正な労働条件を保障することが求められます。そうすることで、外国人労働者も日本社会の一員として、その能力を十分に発揮できるようになるでしょう。
外国人労働者の受け入れは、国際化時代の日本にとって避けては通れない課題です。問題点を直視しつつ、多様性を尊重し、共生社会を目指すことが重要だと考えます。
小論文の要約の書き方のまとめ
小論文での要約の活用法をまとめると、以下のようになります。
- 課題文の主張と根拠を要約する
- 自分の意見を述べる前に、課題文の内容を簡潔に紹介する
- 要約した内容を基に、自分の考えを展開する
小論文は、建物を建てるようなものです。課題文の要約は、土台となる部分。その上に、自分の意見という壁や屋根を組み立てていくイメージです。しっかりとした土台があれば、説得力のある論文を書くことができるでしょう。
課題文を正確に読み取り、要約する力を養うことが、小論文の第一歩なのです。普段から新聞記事や評論文を要約する練習を重ねて、要約力を高めていきましょう。
まとめ
要約は、小学生から大学生まで、学習や研究に欠かせない技術です。文章の主題と要点を把握し、重要な情報を自分の言葉でまとめることが基本です。本や論文の要約では、全体の構成を理解し、各章の要点をノートにまとめ、流れを意識して文章化します。看護記録の要約は、患者の状態、処置、方針を簡潔に記すことが求められます。小論文では、課題文の内容を的確に要約し、自分の意見の土台とすることが重要です。要約力は、情報を整理し、本質を掴む力につながります。日頃から多くの文章に触れ、要点をつかむ練習を積むことが、要約力を高める近道です。
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