OECD(経済協力開発機構)が行った調査に、国際成人力調査(PIAAC)があります。
世界24ヵ国の成人に対して、読解力を始めとして数的思考力、ITを活用した問題解決能力の3つのスキルについて調査を行っています。
この調査によれば、熟練した仕事についている人ほど、読解力が高いことがわかりました。つまり、読解力が高い人は仕事もできるということです。
読解力が高い人は仕事もできる人
この読解力に関するOECDの調査は、日本では2011年〜2012年に実施されています。
日本も含めて24カ国で調査されています。調査結果では、仕事の熟練度が高い人ほど読解力が高いという結果が現れています。
つまり読解力が高い人は仕事もできるということです。
この調査では、仕事の熟練度を大まかに4つに分けています。
スキルドワーカーは、管理職・専門職・技術者を指しています。
セミスキルド・ホワイトカラーは、事務職・サービス・販売従事者を指しています。セミスキルド・ブルーカラーが、農業・林業・漁業・技能工等を指しており、4つ目が単純作業の従事者を指しています。
いずれの国でも同じ傾向が見られました。
余談ですが、この調査では日本は読解力の平均点で世界1位になっています。
読解力が高い人か低い人かは仕事に大きく影響
前述の傾向(読解力が高い人は仕事もできる)は、実際のそれぞれの会社の中にも存在します。
ただ問題なのは、管理職になれない人や仕事の熟練度が高くならない人が、原因が読解力がないことにあると気づいていないことです。多くの人は、原因は運の良さや生まれつきの頭の良さにあると誤解しています。
読解力が高い人が仕事ができる理由
読解力といえば、国語の文章問題等をイメージすると思います。
しかし社会人の場合は、読解力は仕事力の根底にあるものです。文字や文章を読んで、発信者(作者)が何を言いたいのかを正確に読み取る力だからです。
社会人は、様々な資料を読み、社内文書を読み、顧客や取引先からのメール文を読みます。さらに、上司や同僚からの連絡や業務指示も今ではほとんどが、電話でではなくメールが使われています。電話では、話そびれることや聞き漏らしがある可能性があるからです。
読解力が高い人は、資料やメール文を読んで的確に判断をし、上司への報告や説明、顧客や取引先への返信内容をすぐに文章構成し、仕事を成功へと導いていけます。
つまり仕事に必要な情報を正確に読み取って、仕事を進めていくことができます。評価者である相手が何を言いたいのか・何を求めているのかに基づいて仕事をすることになります。
相手にしてみれば、期待に答えてくれる状態にあると感じます。相手が求めることに応えている状況が続きます。当然、仕事ができる人だと認識されるようになります。
読解力が高い人の7つの特徴
読解力が高い人が持っている最大の特徴は、相手が発する文章にしても言葉にしても、あるいは明確に言葉になっていないこと(行間)についても、相手が何を言いたいのか伝えたいのかを読み通る能力が高いことです。
相手が社内の人でも社外の人であっても、相手の意図がわかるということは、相手が求める結果や成果を示して評価を得ることが容易いということです。つまり相手の期待に応えられる人・仕事ができる人という評価を受けることになります。
この最大の特徴に到達するために、それを支える幾つもの特徴を持っています。それらの特徴を自分自身に身につけていくことができれば、誰もが読解力が高い人になっていける可能性があります。
1)読書量が多い
2)本の要点を読み取るのが早い
3)相手に対する想像力が高いので行間を読める
4)知らない言葉を自分で調べる、知らない言葉が少ない
5)知的好奇心が強い
6)要点を押さえた説明がうまい
7)相手にわかりやすく伝える文章を書ける
読解力が高い人は読書量が多い
当たり前かも知れませんが、文字や文章を読んでいる経験が多いです。本であるとは限りませんが、文章を読んでいる量が非常に多いです。読解力とは文章を読んで理解する力ですので、文章を読んだ経験量が多い人の方が当然読解力が高くなります。
読解力が高い人は要点を読み取るのが早い
文章や話の要点を読み取るのが早いと相手の信頼度はグンと高くなります。特に会話の場合は「この人は信頼できる人」と思ってもらいやすくなります。
前述の読書量とも関係してしますが、文章の意味を考えながら読んでいるので、要点を見つけるのが早いのです。本をたくさん読んでいるのに、読解力が今ひとつという人は、文章の意味を考えずに字面だけを読んでいる傾向があります。
読解力が高い人は行間も読める
行間を読むということは、相手に対する想像力がないとできません。想像力があるので、文章の主旨や、話の趣旨が何なのかに気づいて読み進めていきます。ですので、文章の中で具体的に文字になっていないこと(行間)や、話の中で言わんとしていることにも気づけます。
読解力が高い人は言葉の意味を必ず自分で調べる
知らない言葉や漢字に出会った時に、すぐに調べずに前後関係から意味を想像して、スルーしてしまうことがあります。しかし読解力が高い人ほど、自分で調べます。人に聞くことよりも自分で調べようとします。
人に聞いた記憶は定着しにくいことを知っているからです。ネットや辞書でわからないことは、専門家に問い合わせて知ろうとします。読解力が高い人の語彙力はこのようにして高まっていきます。当然知らない言葉は少ないです。
読解力が高い人は知的好奇心が強い
知らない言葉の意味を調べることと同じように、興味を持ったことや知りたいと思うことへの探究心が強いです。つまり知的好奇心が強いです。
なぜだろうと思うことに対して、ネット検索にはじまり、かなり深く調べる傾向があります。
読解力が高い人は説明力も高い
説明力に必要なのは、話す能力と要点をまとめる能力です。前述の通り、読解力が高い人は要点を掴むのが早いです。要点をまとめて整理し簡潔にして説明できる力があります。
説明力は社会人の仕事で、さまざまな場面で求められる力です。説明力がないと、知識や情報をたくさん持っていても、活用できません。
読解力が高い人はわかりやすい文章を書ける
文章力がある人とは、相手に伝えたいことをわかりやすい文章に書ける力です。先の説明力を文章に置き換えたものが文章力につながります。
相手に対する想像力を働かせ、何を求められているのかを考えて文章作成をします。ですので、相手に分かりやすい文章として伝わります。
まとめ
読解力が高い人は仕事ができる人です。
OECDの調査結果からしますと、世界的な傾向と言えます。仕事ができる人と評価されるには、読解力を高める事が必要という事です。
もちろん読解力は必要十分条件ではありません。しかし、読解力は社会人として働く場面を考えると基本の力として必要な能力です。
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