吉田伸夫氏の「時間はどこから来て、なぜ流れるのか」は、時間の本質を探求した科学書です。
本書では、時間の謎に関する物理学的・哲学的考察が展開されます。アインシュタインの相対性理論や量子力学、熱力学の第二法則など、現代物理学の知見を交えながら、時間の性質やその流れの意味について解説しています。
また、時間の矢の問題や因果律、ブロックユニバース解釈など、時間をめぐる難解な概念についても平易に解き明かしています。
さらに、時間の非対称性や時間の始まりと終わりといった問題にも触れ、現代物理学の最前線で議論されている時間の謎に迫ります。
専門的な内容ではありますが、一般読者にもわかりやすく書かれており、時間の本質について深く考えるきっかけを与えてくれる一冊です。哲学的な問いかけと最新の科学的知見が融合した、示唆に富む書物といえるでしょう。
「時間はどこから来て、なぜ流れるのか?」の作品情報
書籍名:時間はどこから来て、なぜ流れるのか?
著者名:吉田伸夫
出版社:講談社
発行年月:2020年1月
「時間はどこから来て、なぜ流れるのか?」の著者情報
吉田伸夫氏は1956年三重県生まれで、東京大学理学部を卒業し、同大学院で博士課程を修了しています。専門は素粒子論(量子色力学)で、理学博士の称号を持ちます。科学哲学や科学史など幅広い分野で研究活動を行っており、「科学と技術の諸相」というホームページを運営しています。
2021年時点では、東京大学大学院総合文化研究科広域科学専攻相関基礎科学系教授としての情報があります。著書には『明解 量子重力理論入門』や『宇宙に「終わり」はあるのか』などがあります。
「時間はどこから来て、なぜ流れるのか?」の要約
「時間はどこから来て、なぜ流れるのか?」は、私たちが日常的に感じている時間の概念について、物理学や脳科学、哲学などの観点から探求した一般向けの科学書です。
本書では、以下のような内容が平易な語り口で解説されています:
- 時間の本質:時間とは何か、その実体や定義について考察します。
- 時間の起源:宇宙の始まりと時間の関係、ビッグバン理論などについて説明します。
- 時間の流れと方向性:過去から未来へと流れる時間の矢印について、エントロピーの概念などを用いて解説します。
- 時間の主観性:人間が感じる時間の流れと物理的な時間の違いについて、脳の働きや意識との関連性を交えて述べます。
- 現代科学と時間:アインシュタインの相対性理論やホーキングのブラックホール理論など、現代物理学における時間の捉え方を紹介します。
- 時間の哲学的考察:時間に関する哲学的な問題について、determinism(決定論)やfree will(自由意志)などの概念を用いて議論します。
本書は、専門的な内容を可能な限りわかりやすく説明することで、読者が日常的に感じている時間の不思議さについて、科学的な視点から理解を深められるような構成になっています。時間について学びたい方にとって、格好の入門書と言えるでしょう。
「時間はどこから来て、なぜ流れるのか?」の200字要約
「時間はどこから来て、なぜ流れるのか?」は、私たちが日常的に感じる時間の概念について、物理学、脳科学、哲学などの観点から探求した科学書です。時間の本質や起源、流れの方向性、主観性などについて、アインシュタインの相対性理論やホーキングのブラックホール理論など最新の科学的知見を交えながら、平易な語り口で解説しています。本書は、専門的な内容をわかりやすく説明することで、読者が時間の不思議さを科学的に理解できるような構成になっています。
「時間はどこから来て、なぜ流れるのか?」の要点
本書の要点は以下のとおりです。
- 時間の測定:古代からの時間測定の歴史と、原子時計など現代の高精度時計の仕組みを解説。
- 時間の非可逆性:エントロピー増大の法則と熱力学第二法則から、時間の非可逆性の理由を探る。
- 時間と因果性:時間の流れと因果律の関係性について、哲学的・物理学的観点から考察。
- 双子のパラドックス:特殊相対性理論における時間の遅れの効果を、双子のパラドックスを用いて説明。
- 量子もつれと時間:量子力学におけるもつれ状態と、時間の非局所性について議論。
- 時間知覚のメカニズム:脳内の時間処理機構と、主観的な時間感覚の錯覚について脳科学的に解説。
- 時間の矢の起源:宇宙初期条件とCPT対称性の破れから、時間の非対称性の起源を探る。
- 決定論と非決定論:ラプラスの悪魔と量子力学の確率解釈から、決定論と非決定論の議論を展開。
- ワームホールと時間旅行:一般相対性理論が予言するワームホールと、その時間旅行への応用可能性を議論。
- 時間の本質への問い:現代物理学の時間理解の限界と、今後の時間論研究の展望を示す。
「時間はどこから来て、なぜ流れるのか?」の感想
吉田伸夫氏の「時間はどこから来て、なぜ流れるのか」を読んで、時間という一般的でありながら謎に満ちた概念について、深く考えさせられました。
著者は、現代物理学の知識を巧みに織り交ぜながら、時間の本質に近づいていきます。また、時間の矢の問題や発生律など、哲学的にも続くテーマが多く取り上げられており、読み応えのある内容でした。
全体としては非常に示唆に富む良書だと思いました。時間という身近でありながら不可能思議な存在について、真剣に考えるきっかけを与えて一冊だと思います。
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