発達心理学のおすすめ本|初心者・学生・子育て向けに紹介

発達心理学 本 (1)

「発達心理学を初めて学ぶなら、どの本が読みやすい?」「子どもの発達や発達障害について学べる本を知りたい」と迷っていませんか。

発達心理学は、乳幼児期や児童期だけでなく、青年期、成人期、老年期まで、人の心や行動が生涯にわたってどのように変化するかを研究する分野です。

本を選ぶときは、発達心理学全体を学びたいのか、子どもの認知・言語発達を知りたいのか、子育てや教育へ生かしたいのかによって適した一冊が変わります。

この記事では、初心者向けの入門書、大学で学ぶ人向けの教科書、子どもの発達を知る本、発達障害への理解を深める本に分けて紹介します。

目次

発達心理学とは?

発達心理学とは、人の心や行動が、時間の経過とともにどのように変化するのかを研究する心理学の分野です。

主な研究対象には、次のようなものがあります。

・認知や思考の発達
・言語の獲得
・感情や自己理解の発達
・親子関係や友人関係
・社会性や道徳性の発達
・青年期の自立やアイデンティティ
・成人期・老年期の心理的変化

発達は、遺伝だけ、または環境だけで決まるものではありません。本人の特性、家庭、学校、文化、社会環境などが相互に関係しながら進みます。

現在の発達心理学では、乳幼児から高齢者までを対象とする「生涯発達」の視点が重視されています。『よくわかる発達心理学[第2版]』や『問いからはじめる発達心理学 改訂版』も、生涯にわたる発達を扱う入門書です。

1. 認知機能の発達

  • 思考力
  • 記憶力
  • 言語能力など

2. 社会性の発達

  • 対人関係
  • コミュニケーション能力
  • 感情調整など

3. 身体機能の発達

  • 運動能力
  • 感覚機能など

発達心理学では、ピアジェ、ヴィゴツキー、エリクソン、ボウルビィなどの理論が、発達を理解するための基本的な枠組みとして学ばれます。

ただし、一つの理論だけで人の発達をすべて説明できるわけではありません。現在の研究や異なる理論と比較しながら理解することが大切です。

発達心理学を学ぶ目的

心理学の基礎として学ぶ

発達心理学を学ぶと、人の考え方、感情、対人関係が年齢や経験によって変化する過程を理解できます。

心理学、教育、保育、福祉などを学ぶ人にとって基礎となる分野です。

子育てや教育へ生かす

子どもの年齢や発達段階に応じた理解を深めることで、言葉のかけ方や学習環境を考える参考になります。

ただし、発達には個人差があります。本に書かれた年齢や段階を、すべての子どもへそのまま当てはめないようにしてください。

自分自身の発達を振り返る

発達心理学は子どもだけを扱う学問ではありません。

青年期の自立、成人期の仕事や家族関係、老年期の心理的変化などを通じて、自分の人生を振り返る手がかりにもなります。

支援に必要な基礎知識を得る

教育、保育、福祉、医療などの現場では、発達の個人差や環境との関係を理解する必要があります。

ただし、本を読んだだけで発達障害を判断したり、支援方法を決めたりすることはできません。困りごとが強い場合は、医療機関、教育機関、自治体の相談窓口などへ相談してください。

発達心理学の本の選び方

初心者は全体像を学べる入門書を選ぶ

初めて学ぶ場合は、乳幼児期だけでなく、青年期、成人期、老年期まで扱う入門書が向いています。

図表、用語解説、章末問題などがあるかも確認しましょう。

大学生は授業内容に合う教科書を選ぶ

大学の授業や資格学習では、授業で指定された教科書を優先します。

理論、研究方法、生涯発達、臨床・支援など、必要な範囲を確認してください。

子育て目的なら対象年齢を確認する

乳幼児、児童、思春期では、扱う発達課題が異なります。

子どもの年齢と、知りたいテーマに合う本を選びます。

特定のテーマは専門書で深める

言語発達、認知発達、愛着、青年期、老年期など、興味のあるテーマが決まっている場合は、分野別の本へ進みます。

発達障害の本は著者と対象を確認する

医師、心理職、教育・療育の専門家など、著者の専門領域を確認します。

また、保護者向け、支援者向け、学生向けでは説明の深さが異なります。

発達心理学を初めて学ぶ人におすすめの本

『問いからはじめる発達心理学―生涯にわたる育ちの科学 改訂版』

坂上裕子・山口智子・林創・中間玲子 著/有斐閣

身近な問いから考えながら、乳幼児期から成人期・老年期までの発達を学べる入門書です。

2024年刊行の改訂版では、青年期・成人期や発達のつまずきを扱う章も改訂されています。初めて大学レベルの発達心理学を学ぶ人に向いています。

向いている人

・発達心理学を初めて学ぶ人
・大学の入門書を探している人
・生涯発達の全体像を知りたい人

『よくわかる発達心理学[第2版]』

無藤隆・岡本祐子・大坪治彦 編/ミネルヴァ書房

胎児期から老年期までの発達を、約100のテーマに分けて解説した入門書です。

各項目が見開きで完結しているため、最初から通読するだけでなく、知りたいテーマから読むこともできます。

向いている人

・図表や短い項目で学びたい人
・授業の予習・復習に使いたい人
・生涯発達を広く学びたい人

『ベーシック発達心理学』

東京大学出版会

発達心理学の研究方法から、乳幼児期の認知、感情、言語、社会性、学童期以降の発達、発達障害への対応まで扱う基礎テキストです。

向いている人

・教育、保育、心理学を学ぶ学生
・基礎を体系的に学びたい人
・入門書から一段深く進みたい人

乳幼児・子どもの発達を学べるおすすめ本

『よくわかる乳幼児心理学』

内田伸子 編/ミネルヴァ書房

乳幼児期の認知、自己、感情、言語、社会性、遊び、記憶などを幅広く扱った入門書です。

図表を使い、主要なテーマを見開き単位で解説しています。保育や教育を学ぶ人にも向いています。

向いている人

・乳幼児期を中心に学びたい人
・保育・幼児教育を学ぶ人
・子どもの行動を理論的に理解したい人

『ことばの発達の謎を解く』

今井むつみ 著/筑摩書房

赤ちゃんが、単語や文法を知らない状態から、どのように母語を使えるようになるのかを、発達心理学と認知科学の視点から説明しています。

向いている人

・子どもの言語発達に関心がある人
・読みやすい新書から始めたい人
・認知科学にも興味がある人

『親子で育てる ことば力と思考力』

今井むつみ 著/筑摩書房

子どもが言葉の意味を自分で考えて学ぶ仕組みと、ことば力・思考力を育てる関わり方を説明した本です。子育てや教育への活用を考えたい人に向いています。

向いている人

・保護者
・小学校教育に関わる人
・言葉と思考の関係を知りたい人

発達心理学をさらに深く学ぶ人向けの本

『発達心理学Ⅰ』

東京大学出版会

総論、胎児期、乳児期、幼児期、児童期を扱い、身体、認知、感情、言語、社会性の発達を研究知見とともに学べる専門的なテキストです。

向いている人

・大学で専門的に学ぶ人
・研究に基づく説明を読みたい人
・乳幼児期から児童期を深めたい人


『発達心理学Ⅱ』

東京大学出版会

青年期から老年期までのライフサイクル、家族やメディアなど社会との関係、障害と支援について扱います。

向いている人

・青年期以降の発達を学びたい人
・生涯発達を専門的に学ぶ人
・家族・社会と発達の関係に関心がある人


『生涯発達心理学』

鈴木忠・飯牟礼悦子・滝口のぞみ 著/有斐閣

子どもの認知能力の獲得から、成人期の自己形成、次世代への継承まで、生涯にわたる発達をコンパクトに学べる入門書です。

向いている人

・子ども以外の発達も学びたい人
・青年期・成人期・老年期に関心がある人
・読みやすい生涯発達の本を探している人

発達障害への理解と支援を学べる本

発達障害に関する本は、発達心理学の教科書とは目的が異なります。

発達心理学は人の発達全般を研究する分野であり、発達障害の本は、特性、生活上の困りごと、支援方法などを中心に扱います。

本の内容だけで診断したり、子どもへ一律の対応を行ったりせず、必要に応じて専門家へ相談してください。

自閉症スペクトラム障害の理解と支援

自閉スペクトラム症では、対人関係やコミュニケーション、興味や行動の特徴などに個人差がみられます。

特性の現れ方や必要な支援は一人ひとり異なります。

『自閉症スペクトラムのある子を理解して育てる本』

学研

自閉スペクトラムの基礎知識、基本的な関わり方、園や学校での対応、専門機関の利用などを図とイラストで説明しています。

向いている人

・保護者
・保育・教育関係者
・特性と日常の関わり方を知りたい人

『自閉症スペクトラムのある子を理解して育てる本』

学研

自閉スペクトラムの基礎知識、基本的な関わり方、園や学校での対応、専門機関の利用などを図とイラストで説明しています。

向いている人

・保護者
・保育・教育関係者
・特性と日常の関わり方を知りたい人

『これだけは知っておきたい!発達障害のある子とのかかわり方』

学研

自閉スペクトラム症、注意欠如・多動症、限局性学習症などに関連する、園や生活での困りごとと支援方法を、複数の専門的なアプローチから説明しています。

向いている人

・保育者・教育関係者
・具体的な関わり方を知りたい人
・複数の発達特性をまとめて学びたい人

『はじめての療育―わかって安心!発達障害の子どもとの上手なかかわり方』

学研

自閉スペクトラムやADHDなどの子どもにみられる日常の困りごとについて、「なぜ起きるのか」「どのように関わるか」を分かりやすく説明しています。

向いている人

・初めて療育や発達支援を知る保護者
・専門用語の多い本が苦手な人
・日常場面の具体例を読みたい人

目的別に選ぶ発達心理学のおすすめ本

初めて全体像を学ぶ

『問いからはじめる発達心理学 改訂版』

短い項目で幅広く学ぶ

『よくわかる発達心理学[第2版]』

大学の基礎テキストとして使う

『ベーシック発達心理学』

乳幼児期を詳しく学ぶ

『よくわかる乳幼児心理学』

子どもの言葉の発達を知る

『ことばの発達の謎を解く』

成人期・老年期まで学ぶ

『生涯発達心理学』

専門的に研究知見を学ぶ

『発達心理学Ⅰ』『発達心理学Ⅱ』

発達障害のある子への関わりを知る

『これだけは知っておきたい!発達障害のある子とのかかわり方』

発達心理学の本を読むときの注意点

発達段階を絶対的な基準にしない

発達には個人差があります。

「何歳なら必ずできる」「この段階でなければ異常」と単純に判断しないようにしてください。

古典理論と現在の研究を区別する

ピアジェやエリクソンなどの理論は、発達心理学の歴史を理解するうえで重要です。

一方で、現在の研究によって見直されている部分もあるため、近年の入門書と合わせて読みましょう。

子育ての正解を一冊に求めない

子どもの性格、家庭環境、文化、学校などによって、適した関わり方は異なります。

本の方法をそのまま当てはめず、子どもの様子を見ながら考えてください。

診断や治療の代わりにしない

本は理解を深めるための資料です。

発達や行動について強い心配がある場合は、医師、心理職、学校、自治体の相談窓口などへ相談してください。

まとめ

発達心理学は、乳幼児期から老年期まで、人の心や行動が生涯にわたってどのように変化するかを研究する分野です。

初めて学ぶ場合は、『問いからはじめる発達心理学 改訂版』『よくわかる発達心理学[第2版]』など、全体像を扱う入門書から始めると理解しやすくなります。

子どもの言語や乳幼児期について知りたい場合は、テーマ別の本へ進みましょう。大学や専門分野で学ぶ場合は、『ベーシック発達心理学』『発達心理学Ⅰ・Ⅱ』などの教科書が候補になります。

発達障害に関する本は、発達心理学の入門書とは目的が異なります。特性や支援を知る参考にはなりますが、本だけで診断や対応を決めないことが大切です。

読む目的と難易度を確認し、自分に合った一冊から始めてください。

心理学全般の入門書も探したい方は、「心理学の本まとめ|初心者・分野・目的別におすすめを紹介」も参考にしてください。

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