本や文章を読む方法には、さまざまな方法があります。本を読む方法の大きな違いには、声に出さずに読むか声に出して読むかがあります。
当記事では、声に出して読む「朗読」について解説しています。朗読は音読と同様に声に出して読む方法です。
声に出して読む方法という点においては、朗読と音読の他に、素読という方法もあります。どの読み方が良い方法なのかと考えてしまう方もいるかも知れません。しかし、どの読み方が優れているということではなく、本や文章を読む上で、何を目的にするのかによって、どの読み方が最適であるという考え方ができます。朗読との違いは何か、関心がある方に、当記事はおすすめです。
朗読は単純に、本や文章の読み方が上手くなるだけではなく、読み聞かせるのが上手になります。
その違いがどこにあるのか、また朗読と音読の効果の違いには何があるのかについて、紹介いたします。
朗読とは何か?感動を伝えるコツ|声のトーンや表情の使い方
「朗読」を辞書で引くと、概ね次のように説明されています。
朗読と何か?朗読の意味と目的
朗読とは、声を出して文章を読む読み方のことです。
朗読の意味
言葉や文章を音声として表現することによって、聞く人に情景や感情を伝えたり、作品や文章の意図を理解しやすくする役割を果たします。
朗読は、文学作品や詩、物語、演劇の台本、スピーチなど、さまざまなテキストを対象として行われます。朗読を行う人は、声のトーン、リズム、テンポ、表情などを使って、聞く人に作品の世界やメッセージを鮮やかに伝えることを目指します。
発声する他の読み方とは違い、朗読は誰かに聞かせるために、声高く感情をくみ取り、趣があるように感情を込めて読み上げることでもあります。
朗読の目的
朗読の目的は、文学作品や詩、スピーチなどの文章を音声で表現し、聞く人に感動や共感を与えることです。以下に朗読の目的をいくつか挙げます。
1)文学作品や詩の鑑賞と理解を深める
朗読は、テキストを音声で表現することで、聞く人により深い鑑賞体験を提供します。声のトーンや表情を通じて、作品の感情やニュアンスを伝えることができます。
2)感情や思いを共有する
朗読は、作者が込めた感情や思いを聞く人に直接伝える手段です。声の表現やリズムを使って、作品のメッセージやテーマをより深く理解し、共感することができます。
3)聴衆に感動や喜びを与える
朗読は、聞く人の心に感動や喜びを引き起こす力があります。声のトーンや表現を使って情景やキャラクターを生き生きと描写することで、聴衆の感情を揺さぶり、深い印象を与えることができます。
4)コミュニケーションや伝達手段として活用する
朗読は、スピーチやプレゼンテーションなどの場で効果的なコミュニケーションツールとしても利用されます。声の使い方や表情を工夫することで、聞く相手に自分の意図やメッセージを明確に伝えることができます。
朗読の目的は、文学や言葉の力を最大限に引き出し、聴衆に感動や共感を与えることです。それによって、作品やメッセージがより深く理解され、心に響く体験が生まれるのです。
朗読と音読の違い|相手がいるかどうかにある
朗読と同じように、声に出して読む読み方に、「音読」「素読」があります。
「音読」は、声に出して読むことで、自分の脳が刺激され、脳への定着率が一時的に高まるなどの効果があります。個人的な学習の場面でも使われる方法です。子供の頃には音読をしていて、次第に黙読するようになります。しかし大人になっても音読には脳を刺激する効果が認められますので、日常的に音読をすることは脳に良い刺激を与える方法と言えます。
また「素読」とは、言葉や文章の意味にとらわれずに声に出して読む方法です。音読に似ていますが、素読のポイントは意味がわからない言葉があったとしても読み進めることに集中することにあります。文章の内容の理解は後回しであり、脳が活性化されることが目的です。江戸時代の寺子屋で論語の素読が行われていたことは、よく知られています。
そして「朗読」もまた、声に出して文章を読む方法の一つです。違いがあるのは、人に聞かせるために感情をくみ取り、感情を込めて読み上げる方法です。必ずしも、読み聞かせる相手が目の前にいるとは限りませんが、相手がいることが朗読の絶対条件です。当然文章の内容を理解していることが必要になります。内容に応じて感情を表現するなどして、説得力を持って読み上げていくものです。
つまり朗読と音読の違いは、読み聞かせる相手がいるのかどうかが大きな違いとなります。表面的には、音読は単に文字を読み発生する方法となります。朗読は誰かに伝えるように読む方法ですので、表現する技術や演出的な表現をする要素が強くなります。
朗読で感動を伝える10のコツ
朗読は、音読に感情をプラスして読むことと考えると、日頃から本を読んでいる方なら、方法として簡単にできそうです。
しかし、試しに朗読してみるとわかりますが、自分が正しく発音ができているのか、イントネーションはおかしくないか、などと注意し始めると、どんどん朗読の難しさを実感することになります。自分自身の理解ではなく、相手に伝えることを目的とする読み方だからです。
事実、番組のナレーションをプロの方が話しているのを聞いてみると、やはりプロはまるで違うことを思い知らされます。感動を伝えるためのコツとテクニックには次10のポイントがあります。
1)テキストの理解と感情の把握
朗読をする前に、読み上げるテキストをよく理解し、その中に込められた感情や意図を把握することが重要です。文学作品や詩の場合は、作者の意図や背景を調べることで理解が深まります。
2)声のトーンとリズムの変化
声のトーンやリズムの変化を使って、テキストの感情や情景を表現します。喜びや悲しみ、緊張など、テキストの要素に合わせて声の抑揚や速度を変化させることで、聴く人に感情を伝えることができます。
3)ポーズと間の使い方
朗読中にポーズや間をうまく使うことで、効果的な表現が可能です。重要な言葉やフレーズの前後で一瞬の静寂を作ることで、効果的な強調や緊張感を演出することができます。
4)表情の活用
朗読は声だけでなく、表情も重要な要素です。顔の表情や目の動きを使って、テキストの情景やキャラクターを表現します。表情によって感情や意図を補完し、聴く人により深い印象を与えることができます。
5)ダイナミックな演技
朗読は、モノトーンにならないように注意が必要です。声の音量や強弱を使ってダイナミックな演技を行うことで、聴く人の興味を引きつけます。状況や感情の変化に応じて、声のパフォーマンスを調整しましょう。
6)練習とフィードバックの活用
朗読は練習が重要です。テキストを何度も読み、声のトーンや表現方法を試してみましょう。また、録音して自己評価を行ったり、他の人からフィードバックをもらったりすることで、自身の朗読スキルを向上させることができます。
7)聴衆とのコミュニケーション
朗読は聴衆とのコミュニケーションの場でもあります。聴衆の反応や反応を感じ取りながら、声の表現やペースを調整することが重要です。聴衆の関心を引きつけるために、適切なタイミングで目線を使ったり、微笑んだり、聞く人に寄り添うような姿勢を持つことも大切です。
8)イマジネーションの活用
朗読は、テキストを聞く人に鮮明にイメージさせる力があります。自身がテキストの世界に没入し、イマジネーションを駆使して情景やキャラクターを描き出すことで、聴く人にもその世界を共有させることができます。
9)積極的な感情の表現
感動を伝えるためには、自身が感情を込めて朗読することが重要です。自然で本物の感情を表現することで、聴く人の心に共鳴し、感動を引き起こすことができます。
10)緊張をコントロールする
朗読はパフォーマンスの一つであり、緊張がつきものです。練習やリラックスのテクニックを使いながら、緊張をコントロールしましょう。自信を持って朗読に臨むことで、自然な表現ができます。
朗読で声のトーンや表情の使い方と効果
朗読を行う効果には、話し方が上手になるということがあります。朗読を行うことで身についた使い方は仕事に活かせるようになります。
営業や販売の人は、普段から商談や商品説明などで、話す機会は非常に多いです。しかし、自分自身の話し方チェックをしている業種や企業は実際には限られており、自分自身の滑舌が悪いことに気づいていないままに、一生懸命に話している方は、意外に少なくありません。
決められたシナリオの中だけで、ロープレという練習をしている企業もありますが、自分自身を客観的に評価できる仕組みで、練習することをお勧めします。
朗読による声のトーンや表情の使い方
朗読をする際に文章に合わせて声のトーンや表情を変えることは、聞く人に内容や感情を伝えるためにとても重要です。声のトーンとは、高さや強さ、速さで変えることができます。
文章によって、明るさや悲しみや切なさを伝わるようの声の表情を変えることも効果的です。テンポを早く話したりゆっくり話すことでも感情の重みや深さも表現することができます。
文章の内容に応じて、単に声に出して読だけではなく、朗読では声のトーンや表情に意識を置いて、相手に感情を伝えることができます。
朗読の効果を仕事に活かす
話をすることが仕事に必須である人は、一人で朗読する方法を毎日少しずつでも繰り返していることで、自分の滑舌の良さ悪さがわかったり、聞きやすい声が発見できることがあります。
決められたシナリオの中で、うまく話せるようになっている気がしていても、実際の場面では想定外の商品説明や顧客とのコミュニケーションが発生することがあります。ですので、普段から、朗読による話し方のトレーニングをしていることが、生かされます。
・滑舌が悪く相手に聞き返されるという経験がなくなる
・発音が明瞭になることで、人柄の見られかたが変わる
・話すことに自信が持てるようになり、人前で話すことに過剰に緊張しなくなる
・顧客や上司に伝えたいことが伝わりやすくなり評価や成果があがりやすくなる
朗読の練習方法
お勧めする朗読の練習方法は、一人朗読です。スマホのボイスレコーダーアプリを利用して録音する方法です。ただし朗読は前述したとおり、単に声に出して読むだけの方法ではありません。内容を理解した上で相手に伝えるための演出や表現が必要になります。
まずは次に紹介する朗読のコツに意識を置いて練習してみてください。
1)抑揚のつけ過ぎに注意する。感情を込めようと意識しすぎると、やり過ぎてしまい、聴きにくい朗読になります。
2)一音一音を丁寧に発音する。特に、語尾が流れたり、声が小さくなる癖がある人は注意しましょう。
3)音読との違いの意識が薄くなると、早口になる可能性がありますので、注意です。
4)句読点(、。)は、原則はあけて発生するが、やりすぎると、間伸びして聞こえるので、文章の流れに沿って、調整して読む。
5)呼吸は腹式呼吸を意識する。胸式だと、呼吸が浅くなって、長文が続かなくなる可能性があります。
6)そばに水を置くことを忘れずに。喉が乾いてしまうと、良い音声が発生できなくなってしまいます。
朗読の練習には文章内容を深く理解する必要がある
文章内容を深く理解し、登場人物の心情や著者の糸を理解しておく必要があります。ですので、事前に文章をよく読み、背景や文脈を把握しておくことです。そのためには熟読しておく必要があります。
朗読の練習にはボイスレコーダー
自分の朗読を録音し、後で自分一人で客観的に聞いてみてください。毎日数分間繰り返してみてください。第三者に聞いてもらってアドバイスをもらうことも練習になりますが、関係性や忖度が入り混じり正しい判断ができない場合がありますので、自分自身を客観的に聞いてみることをお勧めします。
普段自分が自分の声だと認識している自分自身の声は、骨伝導の音も混じって聞こえています。ですので、第三者として聞くと、思っていた声とまるで違うように聞こえるはずです。しかし、それが周りの人に届いている自分の声なのです。発音や滑舌に思っても見なかった癖のようなものがあるかもしれません。
一人朗読をして自分の声を聞くことを繰り返しているうちに、気になる点を意識するようになるはずです。滑舌や話し方が少しずつ改善されて行きます。その結果、営業であれば、売り上げの成績が上る可能性があります。話すことなどコミュニケーションが大事な仕事では、顧客や上司からの評価が好転する可能性が高いです。
朗読検定を目指してみる
今の時代は、仕事やコミュニケーションにおいてテキストによる伝達する場面が増加し、従前よりもはるかに文章力が重視されるようになりました。
しかし実際の声によるコミュニケーション力は、テキストだけでは伝わりにくい雰囲気や感覚を伝えることができます。朗読をする練習を重ねることで、前述のように様々なシーンで、好転するようになります。
朗読の練習をし朗読検定を目指していくことで、さらに自信が高まるようになります。一般社団法人 日本朗読検定協会では朗読検定1級のハイレベルな表現力の認定から、初級レベルの4級までの6段階(1級・準1級・2級・準2級・3級・4級)のレベルを目指すことができます。
必ずしも上級レベルに合格せずとも、話すことへの自信や仕事や生活への好影響が期待できるようになります。
まとめ
本や文章を読むときに、声に出して読む音読と当記事で紹介した朗読は同じように声に出して読む方法です。
音読はあくまでも読むことに目的がありますが、朗読は話し方に重点があります。ですので、朗読を何度も繰り返していくうちに、滑舌が良くなり、話し方が聞きやすくなり、話すことを仕事とする方によっては、スキルアップになる読み方です。
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