多読が注目されているのは、英語の学習法の一つとしてです。
読書として、楽しむ読み方の一つというよりも、脳をトレーニングする方法としての意味が強いです。
多読することで、なぜ英語のための脳がトレーニングされるのかに注目して紹介して参ります。
多読を繰り返すとなぜ英語力は向上するのか
多読の言葉の意味からは、英語力に直結しませんが、現代では英語力を高める方法の一つとして注目されています。
また、多読はリーディングに関して、有益な方法ですが、多読だけで英語がパーフェクトになるわけではありませんので、学習法の一つとして注目しましょう。
多読とは
多読の意味は、簡単にいえば、「本をたくさん読むこと」です。たくさんの本を読むという意味では、他に「乱読(らんどく)」という読み方もあります。ただ、乱読の方は、手当たり次第に読むという意味が強くなります。
また、乱読は今回当記事で注目する英語力を高める方法ということでもありません。
多読にはどんな効果が期待できるのか
多読の効果で、今注目されているのは、「英語の多読効果」です。
英語の多読と素読
多読では、文字通り英文をたくさん読むのですが、自分のレベルに合わせた英文を選ぶのがコツです。返り読み(戻り読み)をせずに、どんどん読み進めていきます。辞書も使わずに読み進めていく様は、「素読(そどく)」とも似ています。
素読は、江戸時代の寺子屋に始まる「論語の素読」でも知られているように、文章の意味の理解は後回しにして、とにかく読み進めます。読む力を高めるのです。
そして次のステップに多読があります。素読によって読む力を高めて、多読を繰り返すことによって「英語脳」が鍛えられていくのです。
多読の効果|素読では脳を刺激し繰り返すと脳が大きくなる
前述の通り、英語の多読は、日本語の素読の方法によく似ています。
素読とは、江戸時代の寺子屋での学習方法です。子供たちは、意味のわからない「論語」を毎日声に出して読みました。
子供たちは、論語の意味の理解は横に置き、単純に読むだけでした。そして次のステップには暗唱して読んでいくのでした。子供は論語の意味は最後まで理解していません。
発音とリズム等を聞き取り感じ取るというものです。現代では、幼児教室などで、言葉の意味の理解は横において、単語をみんなで発声するという方法に継承されています。
素読することが、脳に対して良い刺激をもたらすことがわかっています。脳科学者の川島氏が子供の実証データに基づいて証明しています。
素読では、なるべく速く読むでことで、素読の効果を加速できるとしています。繰り返すことで前頭葉が刺激され、体積の増加がMRIで確認されています。
多読では発声をしませんので、素読と全く同じ方法ではありませんが、単語の意味にとらわれずに、立ち止まらずに、読み進めていく部分が酷似しています。
多読による、英語脳が鍛えられるのも同じ仕組みも、出来るだけ速く多読することを繰り返すことで、脳が刺激されていくトレーニングになっているものと推測されます。
多読の効果的なやり方
多読の具体的なやり方は次のとおりです。
・英語レベルを上げない英文を選ぶ
・黙読で進め、途中で意味が分からない単語があっても、飛ばし読みする。
・辞書は引かないで、とにかく読み進める
・できるだけ速く読む(流れるように)、そしてたくさん読む
意味が分からない単語は、飛ばし読みをして、前後関係で意味を判断します。それでも判断がつかない場合は、英文レベルが多読には向いていない可能性があります。
多読の目的は、リーディングで新しい知識を得ることではないので、この場合は、英文レベルが1段階易しい本に変更しましょう。
速く、毎日繰り返し続けることが、多読による脳に良い効果をもたらすのです。
単語の意味を一つずつ理解しながら読む方法は、学校で習う英語の学び方です。
読み方で分類すれば、精読(細かい部分まで、読み込む方法)という読み方になります。
対して、多読は、大意を理解しつつ、読んでいく方法です。
多読と精読のどちらの方法が正しいということではなく、時と場合に合わせて、読書の仕方を使い分けるのが効果的です。学習法としては、両方の良さを活用する必要があります。
多読の読み方は、振り返って考えてみると、わたしたちが普段している日本語の読書やニュースを読むときの状態と酷似していることに気がつくと思います。
私たちはビジネス書や小説、またニュースを読むときに、分からない言葉は前後関係から意味を推測して読んでいます。当然、それでも分からない場合は、辞書を引いています。しかし、辞書を引く前には大まかな意味は理解できていることが多いです。
まとめ
多読とは、たくさんのいろいろな本を読むことです。
実際には、語学の学習に関連して使われることが多いです。中でも英語の多読では、英語の学習法として、特に注目されています。
やり方は、素読と非常によく似ています。素読では、毎日繰り返すことで、脳が刺激され前頭葉の体積が確認されるなど、言葉の意味が理解できていなくとも、毎日繰り返し読むことで、脳の機能が活性化されるのは、興味深いものです。
英語の多読も一語の正確な意味にこだわらず、大意を理解しながら読むことで、英語脳が鍛えられると言われています。
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