読書の方法も多様化の時代になって久しいですが、以前購入した紙の本は、時々読み返しているでしょうか。特にビジネス書はハードカバーの本が多いですから、持ち歩くがしんどいです。部屋の中でも徐々にスペースをとるようになり、空間を圧迫します。
本をPDF化して保存している人もいると思いますが、一つ注意があります。本をPDFする方法で自炊するのは問題ないのですが、業者にPDF化を代行するのは著作権法に違反する可能性があります。業者も代行依頼した個人も違法になります。要注意です。
本をPDF化の代行は違法|自炊するのはOK
紙の本は一般的に、購入してから読み終わると、書棚に収まったり積み上げられたりしてます。時に読み返す本もありますし、すぐには読まないが捨てるわけにもいかない状態で、徐々に部屋の中を占拠し始めます。
そんな状況にならないうちに、捨てるわけにもいかないという本をPDF化して整理することをおすすめします。またPDF化することで、文字検索ができるようになります。文字検索ができることで、本の読み方も変わります。
本をPDF化する方法は、大きく分けると2つあります。
1つめは、紙の本を自分で裁断しスキャナー(ドキュメントスキャナーが必要です)でPDFデータと読み込んで、スマホやタブレット・PCで読む方法です。
2つめは、多少お金がかかりますが、PDF代行業者に依頼する方法です。本を業者へ送ると、代行業者がPDF化してくれます。後は業者のサイトPDFデータをダウンロードするだけです。ただし、この方法には違法性があります。
本のpdf化を代行サービスに依頼するのは違法
ここまで読んでいただいた方の中には、自分でやるのは大変そうと感じる人もいるかもしれません。
だからPDF化の代行サービスの業者に依頼しようかと検討する方もいるかもしれません。実際にかなり多くの業者が広告をしています。平均1冊で数百円ですので、裁断機やスキャナーを買うことを考えれば、お願いしたいと考えてしまいます。
しかしPDFの代行サービスは依頼した個人も違法になります。注意すべきです。
著作権法の30条では「使用する者が複製(私的複製)することができる」とされています。自炊でスキャンすることは、複製に該当します。個人的に自炊(私的複製)をして、PDFデータを個人だけで使用(私的利用)するのは適法です。
本のpdf化が違法となるのは
本のPDF化が違法となるのは、私的使用のための私的複製の範囲から外れた場合です。本をPDF化をすることは著作権法によって制限されています。
つまり本をPDF化することは本の複製をすることとみなされるのです。本の複製をするには著作権者の許可がなければなりません。ただし個人的にのみ利用するのであれば、私的使用の範囲に収まり違法とはなりません。
私的使用の範囲は家族などごく親しい関係のみです。家族の誰かが深く考えずに持ち出して、職場の人と閲覧していた場合は、違法になります。
友人知人にメールにデータを添付して送れば違法となります。
職場のサーバーにアップして公開すれば、違法になります。
そして自炊の代行業者の場合も違法になります。
代行を依頼した個人も違法になります。
もし友人に見せてと言われた場合、その本のPDFデータが見られる設定にしてあるスマホやタブレットそのもの(デジタルコピーができない状態で)を貸す場合は、違法には当たりません。
本のpdf化は自分でもできる|自炊
手間は少しかかりますが、紙の本からPDFデータにすることは難しくはありません。
現在ほど電子書籍の販売が進んでいない頃、手元の紙の本をPDFデータにすることを「自炊」という言葉で表現していました。道具さえそろえば、素人でも難しくありません。
本のPDF化(自炊)は、簡単に言えば、紙の本を1ページごとに解体して、スキャナーで読み取り、PDFデータとして本の名前をつけて保存します。保存先はどこでも良いですが、クラウドにおいておけば、どのデバイスからでも読めます。本のPDF化の概略は、こんな感じです。
本をスキャンしてpdf化するやり方を解説
本のPDF化の手間は、道具によってかなり左右されます。裁断機とスキャナー次第です。どこまでのコストをかけるかによって、作業量が変わります。また出来映えにも違いがあります。
本のpdf化は裁断から
まずPDF化する本を用意します。表紙を外して紙のページだけの状態にします。
次にスキャナーで読み取れるように1ページごとの状態にしていきます。ページを綴じている側の部分を数ミリ〜1cmほど裁断する必要(ページがバラバラになればOK)があります。ここで登場するのが裁断機です。裁断機の選択肢は3つあります。
1)裁断機
2)ページカッターやディスクカッター
3)一般的な文房具のカッター
選択肢のポイントは、何冊の本をPDF化するのかです。もし本が大量(経験上20冊以上)にあるなら裁断機がないと作業が進みません。DURODEX自炊裁断機200DXがおすすめです。200ページまでなら1度で裁断可能です。
PDF化するのは10〜20冊未満程度という方なら、ペーパーカッターやディスクカッターがおすすめです。ペーパーカッターなら1度に10ページ程度、ディスクカッターなら20ページ程度までいけます。ちなみにビジネス書は200〜300ページが一般的なページ数です。裁断機にしてもペーカッターやディスクカッターにしても、可能枚数までなら、簡単に裁断できます。 ただ裁断機にしてもカッターにしても本体が場所をとります。裁断の作業が終わると、次の出番が来るまで邪魔者になる可能性が大です。(カール事務機のペーパーカッターが進化し、40枚裁断可能になっています)
とりあえず1〜2冊をPDF化という方なら、一般的なカッターでも十分です。カッターは切れ味と使い勝手の良さで、オルファ製がイチ押しです。カッターマットもあった方がいいです。
裁断機にしてもペーパーカッターにしても、一度に切れる紙の枚数に限界があります。ですので本は表紙を外した後で、一定の枚数ごとに分解しておく引く必要があります。切るときはページの順番に注意することです。
本のpdf化の肝はスキャナーの読み込み
次にスキャナーで読み取ります。この時に本が、完全に1ページごとに分離していることを確認してください。ページの間に挟んでいるものがないか、くっついているページがないかを確認してください。1ページごとに確認しておかないと、スキャナーで読み取り始めて、挟み込んでトラブル発生ということになってしまいます。 スキャナーでもっとおすすめなタイプはドキュメントスキャナーです。自動給紙機構によって、ページをきちんとセットすると、すごいスピードで、両面を1度に読み込んでいきます。
他のスキャナーで一般的なのは、1枚を片面ずつ読み取るフラットベッド型になりますが、1冊読み取るだけでもかなりの作業量になります。ビジネス書だと200〜300ページあります。
本のpdf化を非破壊でする方法|裁断しない
本を破壊したくない・裁断したくない方向けには、オーバーヘッド型スキャナーで読み取る方法もあります。読取り部の下に、本のページを開いてセットして、ページをめくりながら読み取っていきます。
ページを裁断していませんので、多少ゆがみが出る可能性があります。補正する機能がついたスキャナーもあります。現時点では、価格がこなれてきた感はあります。ただ全ページをきちんと開いて読み取っていく作業は、ドキュメントスキャナーの快適さと比べると、かなりしんどいです。
本のpdf化はスマホアプリでも可能
1ページごとにスキャンする方法としては、スマホのスキャンアプリを使う方法もあります。作業の手間はかなりかかります。
ご存じの方も多いと思いますが、スマホのスキャンアプリはかなり高性能です。画質も良いですし、ゆがみ補正、OCR処理も可能です。
本のPDF化にはOCR処理を忘れずに
スキャナーで読み取る場合に、OCR処理をしたPDFデータとして読み取るように設定することをお忘れなく。
OCR処理とはスキャナーで読み取った画像データから文字を認識して文字データに変換する処理です。これをしていないと、後で文字検索ができません。
PDFデータは、どこにでも保存ができますが、おすすめはクラウドストレージに保存することです。現状では、どのクラウドストレージも低価格で利用できます。アップルユーザーならiCloudが便利でしょうし、GoogleドライブやDropboxなら、OCR処理を忘れたPDFをあとでOCRすることも可能です。
まとめ
本のPDF化は、手元に本の数が増えてくると多くの人が考えることと思います。
一度読んだ本の中で、後で何度か読む本は限られます。しかし捨てるのももったいないしという方は、そのまま部屋の中に積み上げるか、売却してしまう事になります。しかしPDF化して検索して読める状態に変わると、本の読み方が変わります。
PDF化する方法は自炊は面倒そうだから、代行サービスという気持ちが高まるかもしれませんが、解説しましたように業者も依頼した個人も違法になります。ご注意ください。
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