文章力がない人には、文章の表現力が乏しいという特徴があります。文章の表現力とは、言葉や表現を工夫して、より効果的に伝えるための技術のことです。
当記事では、文章の表現力を高める方法を紹介します。そのためには言葉の力を鍛えることが必要になります。シンプルな表現で相手に伝わりやすい文章を書く方法も重要です。また文章構成も関連してきます。
文章の表現力を高める方法|相手に分かりやすく伝える
文章の表現力を高めるためには以下のようなポイントがあります。
文章の表現力を高めるには読書が必要
文章の表現力を高めるということは、まずは多くの本を読んで、文章表現の実例をたくさん知ることが重要です。何も知らずして文章の表現を高めることは、いわばゼロから作り出す作業になります。それはあまりにも困難な作業となります。
実際に存在する様々な文章の表現の事例を知ることから始める必要があります。良い表現だと感じることが、自分の中に沢山蓄積されていくと、自分が書く文章の表現にも応用できるようになります。
文章の表現力を高めるには語彙力を高める
あなたの周りに「かわいい」「すごい」を連発する人はいないでしょうか。いつも行動を共にしている友人なら「かわいい」「すごい」は、声の感じから微妙な感じがわかるのかもしれません。
しかし年代の違う相手や、生まれ育った環境の相手であれば、「かわいい」「すごい」と言われても、どうかわいいのか、どのようにすごいのかは分かりません。これが文章であれば、尚更分かりにくくなります。
一つのことを表現する場合に使える言葉や文章をたくさん知っておくことも重要です。つまり語彙力を高めるということです。たくさんの言葉の意味(語彙)を知っているだけではなく、同じような意味でも他のことで言い換えすることができる語彙力が高まることで、表現力には大差がついてきます。
語彙力を高めるということは、言葉の意味を知ることや言葉の使い方を知ることです。辞書の使い方や語彙力をトレーニングするアプリで練習することも大事です。辞書も紙の辞書ではなく、アプリやネット検索でいつでも調べられる状態にしておくことをおすすめします。
文章の表現力を高めるには文章構成も考える必要がある
文章の表現力を高める目的には、相手にわかりやすく伝えるという意味もあります。分かりやすく伝えることのポイントには、分かりやすくなる文章の構成があります。
文章構成にはいくつものバリエーションがあります。例えばビジネスシーンでよく使われる文章構成には、序文・本文・結論というよく知られているパターンがあります。この文章構成に自分が書いた文章を編集し直すだけでも、文章の質が向上した感じになります。
文章の表現力を高めるにはシンプルな表現が大事
表現力を高めるというと、修飾語でもった表現が良いと勘違いしてしまう人もいるかも知れません。しかし文章の表現力は相手に伝わりやすくわかり易い文章にすることが大事です。むしろシンプルな表現のほうが相手には分かりやすくなり、文章の質は向上することになります。
文章表現力の鍛え方
文章表現力を鍛える必要はご理解いただけたと思います。
表現力を鍛えるトレーニングが必要です。表現力が低い人がよく使ってしまう言葉に、「形容詞」「副詞」があります。前述の「かわいい」「すごい」などもそうです。表現力を鍛えるトレーニングの一つ目は、「かわいい」「すごい」を使うのを辞めることです。
文章表現力を鍛えるトレーニング|形容詞と副詞を使うのをやめる
トレーニングというと少し印象が違うかもしれません。実行することは、「かわいい」などの形容詞を使わないことです。「かわいい」「すごい」と言いたくなったら、他の言葉に言い換えてください。
文章の表現力がない人は、形容詞と副詞を使いたがります。実はビジネス文章に形容詞を使うのは、とてもリスクが高いのです。相手と自分が同じ意味として、理解し合えていない可能性があるからです。
それが仕事の重要な部分に関係している場合、先ほどの「そういう意味だと思わなかった」となります。営業と顧客の関係だけではありません。仕事の指示をした上司と受けた部下。取引の打ち合わせをしている取引先担当と自社の担当窓口社員。電話をかけてきた(メールで問い合わせをしてきた)相手と電話を受けた社員(メールを受けた社員)などなど。
これらの関係性の中で、会話の中に形容詞と副詞が含まれるほどに、互いに誤解するリスクが高まります。形容詞は、物事の状態を表現する語です。副詞は、他の言葉を詳しく説明する語として使われます。
なれた言葉を言い換えるのは、最初のうちは難しいかもしれませんが、表現を考えて話すことで相手に伝わりやすくなります。形容詞を止めると、細かく具体的に話したり、書いたりするようになるはずです。これまで、雰囲気で流して話した言葉を止めるのはストレスかもしれません。しかし、続けている限り文章の表現力は低いままです。
・「い」で終わる形容詞=嬉しい・楽しい・丸い・四角い・青い・赤い、など
・「な」で終わる形容詞=親切な・対照的な・効果的な・イージーな・ハードな、など
・ゆっくり・とても・なるべく・あいにく・まさか・わざわざ・もっと・決して、など
文章表現力を向上させるには具体的に|情報を正確に
上司から部下に仕事の指示がなされます。その時に、上司が部下に「なるべく早く頼むよ」と言います。
よくあるケースです。表現力がある上司なら、例えば「明日の朝9時までにレポートにして提出してください。」と追加します。
部下は、これで期限と依頼された仕事の形態を知ることができます。部下の現状抱えている他の仕事の関係によっては、「明日の朝9時のレポート提出は無理です」となるかもしれません。
前述の状態で、上司から追加の言葉もなく、部下からの確認の言葉もないまま、次の朝を迎えると、上司から「レポートはできた?」と言われるかもしれません。どちらに非があるのかは別として、発信側の表現力が不足していたことに最大の原因があります。
実際には同じような状況はどこの会社でも起きています。上司と部下ではなく、会社と顧客という場合もあります。顧客側の表現力不足があったとしても、責任を問われるのは、会社の担当者です。
文章の表現力向上のためには相手の専門度を見極める
繰り返しですが、相手にとって分かりやすい文章表現でなければなりません。
ポイントは、文章を書いている自分がわかりやすいと感じることではありません。文章を読んでくれる相手にわかりやすいと感じてもらう必要があります。
専門用語に詳しくない一般ユーザーに向かって、専門用語だらけで説明している販売員や営業は、間違いなく成績が悪いです。相手のことを考えていないからです。
一般ユーザーには専門用語を一般的な言葉に翻訳して伝える必要があります。逆に上司や取引先担当が相手なら、プロ同士で伝わる言葉を使って表現する必要があります。
相手の専門度レベルに合わせて、言葉を使い分けることも文章の表現力に必要な要素です。相手が使い慣れている言葉の専門度に合わせた、言い換えができる言葉を知っておく必要もあります。つまり語彙力を増やすということです。
語彙力がない人は、ボキャブラリーがないと言われます。ワンパターン的な表現しかできない人です。ボキャブラリーは、本を読んだり、普段話をしない人と話したり、時に言葉を知らないことで恥をかきながら覚えていくものです。
ボキャブラリーを高める方法は、次のとおりです。
1)本を読むこと(知らない言葉に出会う場を増やします)
2)意味がわからない・わかったと思っている言葉の意味をスマホアプリで調べる(とにかくたくさん調べる)
3)覚えたばかりの言葉をすぐに使い倒す(使える場面で使いまくってください)
スマホに漢字のアプリをインストールして、わからない言葉に出会うたびに、調べてください。
調べて意味がわかったら、話し言葉や文章を書く際に意識的に使うことです。
まるで前から知っていたかのように、どんどん使うことです。
調べて使う、知っていたかのようにどんどん使う。これで表現力は必ず向上します。
文章の表現力を一気に向上させる簡単なコツ
文章の表現力を高める方法について紹介してまいりましたが、すぐにできる簡単な方法はないのか、という方もいるかもしれません。
冒頭でも解説しましたが、文章の表現力には、情報を正しく伝えることが必要です。そして相手が理解しやすい言葉遣いをする必要があります。つまり自分が伝えたいことが正しくもれなく分かりやすく表現されている必要があるのです。
最も簡単なコツをお教えします。それは5W1Hで、文章内容を表現することです。もちろん最低限必要な敬語に関する言葉遣いは使わなければなりません。
5W1Hとは、子供の頃に学校で教わった記憶がある人が多いはずです。とてもシンプルで、子供じみて感じる人もいるかもしれませんが、自分にとっても相手にとっても、分かりやすい構成になるはずです。
いつ(when)・どこで(where)・誰が(who)・何をした(what)・なぜ(why)・どのように(how)に、相手に説明したいことや伝えたいことを当てはめてみてください。もし5W1Hに、上手く当てはまらない場合や不足している場合は、よく考えてみてください。
あなたの話や文章の表現が相手にうまく伝わらない原因はそこにあるのだとわかるはずです。
まとめ
文章の表現力について解説しました。文章の表現力を誤解していなかったでしょうか。
小説家のように、文章の表現によって相手を感動させたりコントロールする場合の表現力は、社会人に必要な表現力ではありません。
社会人に必要な文章の表現力は、大事な情報を正しく相手に伝え、相手が分かる言葉で表現する能力です。
文章の表現力をアップさせるには、今までついつい使っていた「形容詞」「副詞」をできるだけ使わないことと、本を読んで知らない言葉に出会うことです。
出会ったら、すぐに調べて、すぐに使うことです。この繰り返しで、あなたの文章の表現力は必ず向上します。
社会人には、文章の表現力がないばかりにクレームになったりトラブルに発展することがあります。「そういう意味だと思わなかった」ということが、自分か相手の心の中に生まれます。
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