中学と高校では読書感想文を書いた経験があると思います。
そして大学生・社会人になってからは読書感想文や読書レポートの提出をするよう求められたと思います。
読書レポートは読書感想文と同じで良いという方もいますが、実際には名前が示すとおり読書レポートは報告の意味を持つ書面です。読書感想文の要素は持ちますが、同じではありません。
問題は何を報告するのかです。当然単純な本の内容説明の報告であれば、わざわざ読書レポートとする意味がありません。
では解説してまいります。
読書レポートとは何を書く|読書感想文との違いは
大学生や社会人には、読書感想文の提出を求められることもありますが、読書レポートの提出を求められることが増えるはずです。
読書感想文は、あらすじと自分が感じたことが読書の前後で変化したことなどを中心に作成します。では、読書レポートには何を書けばいいのか。多くの場合、作成する内容について具体的に明確には示されていないように思います。
また辞書にも明確な記載はなく、ネット上にも様々な情報が発信されています。
当記事では大学教授が学生に求める読書レポートについての記述や、経営者として社員に読書レポートを提出してもらった経験から、解説しています。
読書レポートとは何を書くのかが不明確
ネット上の情報から、読書レポートに関して学生や社会人から見て、読書レポートに書くべき内容と思われているのは、下記のとおりです。
1)本の内容の要約を書く
2)要約に加えて、自分の意見・批評を含めて書く
3)ほぼ読書感想文でよい
しかし、大学教授や企業が大学生や社会人に求める読書レポートの内容とは違います。
一般的に問題形式は、記述式・短答式・選択式に分かれます。短答式や選択式では答えが明確ですが、記述式は文章で答えるものです。思考力や表現力が評価の対象になります。
読書レポートや読書感想文は、自由記述式の問題では、短答式や選択式の問題とは違い、解答そのものではなく、解答に至るプロセスで、どのように考え判断したものかを測られるものです。
大学教授や経営者が、大学生や社会人に対して、読書レポートの提出を求めることは、単純に要約などの本の内容を説明してほしいわけではないとわかると思います。むしろ要約の割合は少なくて良いのです。
読書レポートでは何を報告すればいいのか
読書レポートで提出先側(大学教授や経営者)が書いてほしいと考えていることは、以下のことです。
1)本の主張を読み取り、根拠としていることや前提としている条件等に間違いはないのかの検証
2)もし反論・問題提起があるならその内容と根拠
3)分析と批評をした上で、意見を書くこと
読書レポートは、本の内容を単純に説明したり報告することが求められてはいません。
大学や企業が知りたいのは、どのように調査をして、思考と判断をして、どういう結論(意見・主張)に行き当たったのかについてのプロセスです。
ですので、読書レポートを書くには、本をクリティカル(批判的)に読み(否定的ではありません)、事実として間違いはないのか、前提条件となる部分は正しいのかをよく調べ、検証をする必要があります。
そしてその結果に対して、分析を行い批評を行い、問題提起や自分の意見を述べるのです。問題提起や意見には根拠も示し客観性に基づいている必要があります。
ですので要約や読書感想文として書いてしまうと、理解不足という評価になります。
要約は本の要点をまとめたものであり、本の内容説明でしかありません。個人の意見は入りません。中学生や高校生と比べると、大学生や社会人は知的レベルが高いのですから、単純な説明や報告として提出を求められているのではありません。
読書レポートと読書感想文との違い
読書感想文は、一般的に「あらすじ」と「個人の感想」を書くものです。
個人の感想では、「本を選んだ経緯」や、「読む前の印象と読んだあとに感じた印象の違い」や、「今後の自分にとって参考となる部分があれば抽出して紹介」などを記載します。自分の意見を織り交ぜて読書感想文を書くことも有効です。
読書感想文の中心となるのは、主観的視点です。
対して読書レポートは、個人の意見を書きますが、ベースとなるのが客観性です。本の主張や前提を客観的に調べて分析を行います。その上で問題提起や意見を述べることになります。
主観的視点を遥かに飛び越えて、調査し書くことになります。当然作成する労力は読書レポートのほうが遥かに大変です。
まとめ
読書レポートで何を書けばいいのか迷っている方が多いようです。
前述のとおり、読書レポートは要約や読書感想文とは似て非なるものです。読書レポートは、本を読んだあとは作者の主張を明らかにして、調べることから始まります。否定ではなく批判的思考(クリティカルシンキング)で読む必要があります。
要約だけを書いたり、読書感想文だけを読書レポートとして提出してしまうと、評価されませんので、注意してください。
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