読むべき本の中で、「小説」はたくさんのことを教えてくれます。
読み手の心の持ち方で、人生や愛や仕事について教えてくれるものです。人との関係性の持ち方は、社会人となり仕事をしていく上でとても重要ですが、ビジネス書だけ読んでいても気づけないことです。小説を読むことで、現実社会の経験以上の体験や知恵を得ることができます。
読むべき小説|名作を読む理由
名作と呼ばれる小説には、時代や文化を超えて多くの人々に読まれる理由があります。このセクションでは、「読むべき小説|名作を読む理由」について、具体的かつ分かりやすく解説します。
名作を読む理由
- 普遍的なテーマ
名作小説は、愛や友情、人生の意味、喪失といった普遍的なテーマを扱っています。これらのテーマは、どの時代に生きる人々にも共感を呼び、読者自身の人生や経験と重なる部分を見出すことができます。
- 深い人間理解
名作は、人間の内面や複雑な心理を深く掘り下げて描きます。これにより、読者は様々な人物の視点を通じて、人間性の多様性や複雑さを理解することができます。
- 言葉の美しさ
名作小説は、言葉を巧みに操り、美しい表現や印象的な描写で物語を紡ぎます。このような文学的な美しさは、読者に新たな感動を与え、言葉の力を再認識させます。
- 文化的背景の理解
名作は、その時代の社会や文化を反映しています。読むことで、異なる時代や文化について学ぶことができ、自分の世界観を広げる機会にもなります。
- 思考の拡張
名作小説は、一見簡単な物語の中にも、深い哲学や思考を刺激する問いを投げかけます。これにより、読者は自分自身や社会について深く考えるきっかけを得ることができます。
具体例
1)宮沢賢治童話集 注文の多い料理店 セロひきのゴーシュ
山猫軒という奇妙な料理店に迷い込んだ山男と、夢を追いかける少年ゴーシュの物語。山猫軒では、客自身が料理を作るという不思議なルールがあり、山男は様々な注文に戸惑いながらも成長していく。一方、ゴーシュはセロ弾きとして成功するため努力を続け、動物たちとの交流を通して優しさや強さを身につけていく。個性的なキャラクターと美しい自然描写が魅力の作品。
2)川端康成 雪国
雪国を舞台に、妻子ある男・島村と、純粋な芸者・駒子の儚い関係を描いた物語。雪景色と温泉旅館を舞台に、島村の虚無的な心と駒子の情熱が交錯し、生死や愛憎といった普遍的なテーマを浮き彫りにする。美しい日本語と繊細な心理描写が特徴で、ノーベル文学賞受賞作品としても知られる。
3)司馬遼太郎 竜馬が行く
司馬遼太郎の「竜馬がゆく」は、幕末維新を駆け抜けた坂本竜馬の生涯を描いた長編小説。土佐勤王党を脱藩した竜馬は、勝海舟に学び、海援隊を結成。薩長同盟を実現し、大政奉還に尽力する。しかし、維新を目前に暗殺される。全5巻、累計2500万部を超える国民的ベストセラー。
名作を読むことは、単に物語を楽しむこと以上の意味を持ちます。それは、自己の内面と向き合い、広い世界に目を向けるきっかけを提供してくれるのです。名作小説は、時代を超えて読み継がれる価値があり、それぞれが人生において大切な学びや感動を与えてくれます。
読むべき小説|年代別おすすめ小説
小説は時代ごとに異なる魅力があります。例えば、20世紀初頭は心理描写が深い作品が多く、現代では社会問題を反映した作品が注目されています。年代を追うごとに、読者が共感できるテーマやスタイルが変わってくるので、自分の興味や感性に合った小説を見つけることが大切です。
古典から最新の作品まで、各時代を代表する小説を読むことで、文学の流れを感じ取り、豊かな読書体験が得られるでしょう。年代別のおすすめ小説を探す際は、その時代の背景や作家の思想も一緒に学び、より深い理解を目指しましょう。
20代が読むべき小説
20代が読むべき小説を紹介します。
銀河鉄道の夜
宮沢賢治の代表作です。幻想的で美しい作品です。少年が2人で銀河鉄道に乗って旅をします。様々な人との出会いによって、成長し発見をしていきます。
吾輩は猫である
夏目漱石の代表です。猫が物語の語り手というユニークな視点で書かれています。人間を観察し、哲学をするのです。結末もまた哲学的です。
社会人が読むべき小説
ノルウエイの森
村上春樹の作品です。ビートルズの「ノルウェイの森」を聞いたことがきっかけとなり思い出が溢れてきます。学生時代の思い出や、人間関係など。自殺した友人や、彼女との物語。
博士の愛した数式
記憶が80分しか続かない「博士」のもとに「私」が派遣されます。物語は私の息子「ルート」を含めた3人の中で、進んでいきます。描かれているのは、3人の日常です。
読むべき小説|大学生
大学生の期間は、多くの新しい考え方や価値観に触れる絶好のチャンスです。この時期に読むべき小説は、自己発見や世界観の拡大につながる作品がおすすめです。ここでは、大学生におすすめの小説をいくつか紹介します。
1)『ノルウェイの森』村上春樹
- 大学生の主人公が抱える孤独や愛、死について深く掘り下げた作品。自分自身と向き合う大切さを教えてくれます。
2)『こころ』夏目漱石
- 人間の心の奥深さを描いた古典。人との関わり方や、社会との接し方について考えさせられる作品です。
3)『ストーナー』ジョン・ウィリアムズ
- 大学教授の一生を通じて、仕事とは、愛とは何かを問いかける。自分の人生に対する価値観を見つめ直す機会を提供します。
4)『異邦人』アルベール・カミュ
- 人生とは何か、そして人間が直面する不条理について考えさせる作品。自分の存在意義を問い直すきっかけになります。
5)『吾輩は猫である』夏目漱石
- 社会の様子を猫の目線からユーモラスに描いた作品。日常の中で見落としがちなことの価値を再認識させてくれます。
6)『1Q84』村上春樹
- 現実とは異なる世界「1Q84年」を舞台に、複雑に絡み合う運命を持つ男女の物語。想像力を刺激し、新たな視点を開く一冊です。
これらの小説は、人生の選択肢に迫られる大学生にとって、多様な視点から物事を考える力を養う手助けになるでしょう。読書を通じて、自分だけの価値観を見つけてください。
読むべき小説|高校生
高校生の時期は、自己探求や世界に対する理解を深める大切な時期です。この成長の段階で読むべき小説は、人生の様々な側面を探求し、思考の幅を広げることができる作品が理想的です。以下に、高校生におすすめの小説をいくつか紹介します。
1)『走れメロス』太宰治
- 友情と信頼をテーマにした古典。人間の美しさと複雑さを描き出し、深い感動を与えます。
2)『銀河鉄道の夜』宮沢賢治
- 喪失と再生の物語。宇宙的な視点から人生とは何かを問いかけ、内省的な思考を促します。
3)『キャッチャー・イン・ザ・ライ』J.D.サリンジャー
- 青春期の孤独や戸惑いを描いたアメリカ文学の名作。自分自身と世界との向き合い方について考えさせられます。
4)『坊ちゃん』夏目漱石
- 社会との摩擦や個人の価値観をユーモラスに描いた作品。正義感とは何か、自分らしく生きることの意味を問います。
5)『夜は短し歩けよ乙女』森見登美彦
- 夢と現実の境界が曖昧な京都を舞台にした物語。若さのエネルギーと刹那的な美しさを感じさせます。
6)『ハリー・ポッター』シリーズ J.K.ローリング
- 魔法の世界を舞台にした冒険と成長の物語。友情や勇気、愛の大切さを教えてくれるシリーズです。
7)『星の王子様』アントワーヌ・ド・サン=テグジュペリ
- 大人と子供の世界の違いを描いた物語。人生の本質について深い洞察を与え、心を動かします。
これらの小説は、高校生にとって、自己認識を深め、人生の多様性を理解する上で貴重な資源となります。読書を通じて、様々な視点から世界を見る機会を得て、自分だけの答えを見つけ出してください。
読むべき小説|中学生
中学生は、感性が豊かで好奇心旺盛な時期です。この時期に読むべき小説は、冒険心を刺激し、想像力を広げるとともに、人生や社会に対する理解を深める作品がおすすめです。以下に、中学生におすすめの小説をいくつか紹介します。
1)『魔女の宅急便』角野栄子
- 自立を目指す少女キキの冒険を描いた作品。夢に向かって努力する大切さや、困難を乗り越える勇気を教えてくれます。
2)『ハックルベリー・フィンの冒険』マーク・トウェイン
- アメリカ南部を舞台に、少年ハックと奴隷ジムの旅を通じて、友情や自由の価値を描き出す冒険小説です。
3)『風の谷のナウシカ』宮崎駿
- 環境問題と人間の生き方を問う物語。ナウシカの強い意志と優しさが、世界を変える力を持つことを示しています。
4)『小公女』フランシス・ホジソン・バーネット
- 貧しさと苦難の中でも心の豊かさを失わない少女の物語。内面の美しさと強さが、人生を豊かにすることを教えます。
5)『アンネの日記』アンネ・フランク
- 第二次世界大戦中の隠れ家生活を綴った実話。アンネの強い生命力と希望が、どんな状況でも諦めない大切さを伝えます。
6)『宝島』ロバート・ルイス・スティーヴンソン
- 海賊と宝探しを描いた冒険小説。勇気と友情、裏切りなど、様々な人間模様が読者を引き込みます。
7)『時をかける少女』筒井康隆
- 時間を自由に行き来する能力を得た少女の物語。時間の大切さや人とのつながりの意味を考えさせる一冊です。
これらの小説は、中学生が自分自身や周囲の世界について深く考えるきっかけを提供します。読書を通じて、新しい視点を得ると同時に、夢や希望に向かって歩む勇気を育んでください。
読むべき小説は感動をよぶ
感動を呼ぶ小説は、読者の心に深く響き、人生観を変える力を持っています。例えば、『レ・ミゼラブル』ビクトル・ユゴーは人間の尊厳と救済を、『走れメロス』太宰治は友情と信頼の深さを描きます。また、『火花』又吉直樹は夢を追う青春の輝きと葛藤を、『海辺のカフカ』村上春樹は存在の意味を探求します。これらの作品を読むことで、人生の美しさや苦悩を共感し、深い感動を覚えるでしょう。
本章では、それ以外の小説も紹介します。
ツナグ
一度だけ死者と会わせてくれるという少し不思議な存在である「ツナグ」が中心となり、短編が続いていきます。生きてる側の人と死者の側の人の気持ちが表現されていて、感動させられます。
旅猫リポート
猫好きな人でなくとも感動させられます。やむにやまれず飼い猫と別れなければならなった飼い主の青年が、飼い主探しの旅をします。人との出会いの中で、人の優しさや友情を感じます。
椿山課長の七日間
46歳で突然死した男性が別人の姿となってよみがえって、家族や周りの人々の愛情に気づいて行きます。そして自分の突然死を受け入れていきます。ファンタジーですが、後半には涙と感動があります。
読むべき小説は日本の古典的文学作品
日本の古典的文学品には、やはり読みつがれていく理由があります。そしてそれらの小説は読むべき小説でもあります。
人間失格
説明の必要もないと思われる太宰治の代表作です。ただタイトルは知っているがまだ読んではいないという人もいるかも知れません。主人公の人生ドラマが描かれていますが、太宰治の自伝的小説ともいわれています。
こころ
日本の古典的文学作品の中で、前述の「人間失格」と一番売れた本を争っている作品です。主人公の目を通してみる先生の苦悩が物語の中心です。(物語の中の先生は、教師ではなく博識な年長者に対して呼び方として表現されています)
雪国
ノーベル文学賞を受賞している川端康成の代表作。世界中でも翻訳されている作品です。文筆家と雪国の芸者との関係性が描かれているのですが、直接的な表現ではなく、比喩や背景描写で伝えています。
読むべき小説|ミステリー
ミステリー小説は、謎解きや推理を楽しみながら、読者を物語の世界に深く引き込む魅力があります。このジャンルでは、緻密なプロットや予想を裏切る展開、心理描写の巧みさが光る作品が多く、読むことで思考力や観察力を養うことができます。以下に、ミステリー小説の中でも特に読むべき作品をいくつか紹介します。
1)『シャーロック・ホームズ』シリーズ(アーサー・コナン・ドイル)
- 推理小説の金字塔とも言える作品。鋭い観察力と論理的思考で謎を解き明かすホームズの活躍は、ミステリーの醍醐味を存分に味わえます。
2)『そして誰もいなくなった』(アガサ・クリスティ)
- 閉ざされた島で起こる連続殺人を描いた作品。クリスティの巧妙なトリックと予測不能な結末は、読者を最後まで惹きつけます。
3)『東野圭吾の作品』
- 現代ミステリーの巨匠、東野圭吾の作品群。『白夜行』や『容疑者Xの献身』など、深い人間ドラマと複雑な謎が絡み合う物語は、感情を揺さぶられます。
4)『名探偵ポワロ』シリーズ(アガサ・クリスティ)
- 小柄なベルギー人探偵ポワロの冴えわたる推理が光るシリーズ。独特のキャラクターと謎解きの面白さが魅力です。
これらのミステリー小説は、ただ事件を解決するだけでなく、人間の心理や社会の矛盾にも深く切り込んでいます。読むことで、謎解きの楽しさだけでなく、人生や社会に対する新たな洞察を得ることができるでしょう。
読むべき小説|海外作品
海外作品にも読むべき小説は数え切れないほどあります。当記事ではスペースの関係から、究極に絞り込んで紹介をします。日本の作品とは違い、海外小説は読みにくいと感じる方もいるかも知れません。描写の傾向など確かに違いはあるかもしれませんが、読まないのはもったいないです。
また紹介するのは、スペースの関係上読むべき小説のごく一部であることをお断りしておきます。
そして誰もいなくなった
あまりにも有名なアガサ・クリスティの作品です。アガサ・クリスティには、たくさんのベストセラー作品があり、選ぶのは困難です。中でも本作品はたくさんのミステリーの原点ともいえるトリックが描かれています。オマージュ作品がたくさん生まれていることでもとても有名です。
ハリー・ポッターと賢者の石
ハリーポッターの作品は全て揃えておきたいものです。シリーズの累計発行部数は5億部を超えています。魔法学校に入学して試練を乗り越えて成長していくファンタジー作品です。子供だけではなく大人にも楽しめる作品になっていることが、驚異的な発行部数の後押しになっています。
ペスト
この作品が書かれたのは1947年ですので、70年以上も前になります。しかしまるで2020年から発生したコロナを予見していたかのような内容が描かれています。人間の弱さを感じます。
人生で読むべき小説
学生時代に読書をしてこなかった人も社会人になると、ビジネス書を読む必要性を感じる場面が発生します。しかしビジネス書だけを読んでいるのでは、ビジネスマンとして成長することは出来ません。ビジネス書を一生懸命に読んで、それ以外を軽視する傾向さえあります。
しかし組織の中で成果を上げていくには、読解力や文章力を高める必要があり、そのためには小説を読むことは必然があります。社会人になったらビジネス書と小説を読むべきです。
下町ロケット
テレビドラマ化や映画化により、よく知られる作品となりました。大企業に対抗する下町工場の技術力が評価され意地を見せてくれる展開となります。
手紙
単行本として出版後に、映画化・文庫の出版・舞台化やテレビドラマでも発表された有名作品。兄と弟の苦しくて悲しい物語です。東野圭吾の代表作の一つ。一気に読んでしまいたくなる可能性あります。寝る前に読むとぐいぐい引き込まれ眠れなくなるかもしれません。
アルジャーノンに花束を
アルジャーノンはハツカネズミの名前。主人公は知的障害者のチャーリー。アルジャーノンが受けた手術と同じ手術を受けて、チャーリーは知的能力が飛躍的に伸びていきます。その後、アルジャーノンに異変が現れ、チャーリーにも変化が現れます。結果、チャーリーの知能は手術前よりも低下してしまいます。アルジャーノンは発狂し死んでしまいます。チャーリーは自分にも同じことが起こると考え施設に戻っていきます。
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