後述しますが、実は日本人の読書量は世界から見ると多くありません。読書をしないという人の割合は、半分近いという調査結果もあります。読書によって何かが得られるのかを知らない人が多いのです。
客観的事実として、読書をする人のほうが知識や情報を持っていますし、漢字や言葉の意味も知っているのです。つまり語彙力が高いということですし、読書量が多ければ読解力や文章力は比例して高くなります。
当然ながら、語彙力や読解力が高い人のほうが、学生であっても社会人であっても、良い結果が得られるようになるのです。
読書量が多い人の特徴
「若者の活字離れ」が問題とされていたことがあります。しかし活字離れは若者に限ったことではありません。むしろ今はメールやSNSで活字によるコミュニケーションが一般的であります。ただ読書をしていない人の場合、社会人では通用しない短文中心のコミュニケーションになっていることは気になる傾向でもあります。
学生にしても社会人にしても、読書量が多い人のほうがメールの文章はうまくかけます。そして読書量が多い人のほうが、語彙力が高く読解力も上です。学校の勉強にしても、社会人としての仕事の成果も、読書量が多い人のほうが優位にあります。
読書量が多い人の特徴はどんな事があるのか確認をしておきましょう。
1.語彙数が多く語彙力が高い→たくさんの言葉を知っているだけでなく、話したり書いたりする文章の中でうまく使えます。
2.読解力と文章力が高い→文章を読んだり相手の話から内容を正確に理解できるし、相手に分かりやすく文章で伝える能力も高いです。
3.読書量に比例して収入が上がる→一般的に、読書量が多く仕事に活用できている人は収入は高いです。
4.顔つきが変わる→知らないことが多くて不安を感じるということが減少していくため、自信が生まれるようになり、顔つきが変わってきます。
5.思考力・行動力が高くなる→読書から得られる疑似体験から現実よりも遥かに多い学びをすることになります。そして様々な物事に対して素直に受け入れ思考し行動できるようになります。
読書量が多いと高まるという力
読書量が多いと高まる力には、上記に示したように、語彙力・読解力・文章力・思考力・行動力などの能力があります。その他にも想像力や判断力という能力も高まるようになります。これらの能力は、社会人になると必要性は更に増してきます。
それらの能力は、成果の違いになって現れ、評価の違いにつながるようになります。具体的には、収入や出世に直結します。読書量が多いという目安は、何冊読めばいいという基準が明確にあるものではありません。
しかし残念ながら、「読書はなんの役に立つのかわからない」という方が少なくありません。読書量が多いと高まるという力があり、社会人になってから大きく影響してくることを知らないのかもしれません。これらの力は読書以外の方法では、時間をかけて実際に体験して身につけるしかありません。しかし、実体験からの学びだけでは身も心もボロボロに傷んでしまう可能性があります。
読書量を増やすことで、知識や情報と擬似体験(追体験)という経験値が増えていくことで高めることができるのです。特に次に挙げる3つの力は、社会人になってから最重要となる基本の力です。仕事で成果を出せない人やミスを繰り返してしまう人の根本的な原因は、この3つの力が不足していることにあります。
語彙力
ボキャブラリーとも言われます。様々な言葉の意味を知っていて、話す言葉や書く文章の中で言葉を応用して使うことができる力です。学生の場合なら、語彙力がなければ問題文の意味を正確に理解できないかもしれません。社会人ならば、仕事の指示の意味や相手が発している言葉の意味を理解できない状態になってしまいます。語彙力が不足している場合には、自分が知っている意味の範囲でしか理解しないために、不正確でありながら理解しているつもりになってしまうリスクもあります。その結果、勉強や仕事でミスを重ねることになってしまいます。
読解力
一般的に読解力とは、文章を読んで理解する力とされています。しかし現代社会ではメールや文章などの活字によるコミュニケーションが増加しており、文章を読んで表面的な理解をするだけでは不十分です。文字として明確に表現されていない事柄についても、相手の意図を理解できているかどうかが読解力の重要な点と考えられています。
文章力
活字によるコミュニケーションは、社会人になれば「報告・連絡・相談」という場面で多用することになります。相手にわかりやすく文章を書けるかどうかの力は、必須とも言えます。社会人になれば自然に大人としての文章が書けるようになるわけではありません。良い文章をたくさん読むことで、良い文章を体験しなければ、書けるようにはならないものです。何年経ってもわかりにくい文章しか書けない状態なら、上司や顧客から良い評価を受けることは難しいです。
読書量を増やすには
読書をした方が良いことは理解しているが、自分には読書の時間がないと思い込んでいます。あるいは、読書以外に今やるべき重要なことが自分にはあるのだとも思い込んでいる場合が少なくありません。
しかし読書量を増やすことは、社会人になってからの大差につながるほど人生や仕事に影響が大きく作用します。ただ読書量を増やすことで、数日で結果に現れるという性質のものではないために、継続する人が少ないのです。読書量が人生の重要なことにつながると考えれば、限られた時間を毎日30分でも1時間でも読書の時間に使うことができるようになり、読書量を増やすことができるでしょう。
読書量の重要性に気がついたら、次はどこでも読書ができる準備をするだけです。通勤通学のカバンの中に文庫本を入れておいて、スキマ時間を見つけたら5分10分でも読書をすることです。スマホでゲームをしたり、ニュースチェックをしていた時間を削ってください。
スマホにKindleなどの電子書籍アプリをインストールしておいて、どこでも読書ができる状態にしておくこともおすすめです。常にスマホを持ち歩いてる人には有効です。Amazonのプライム会員ならプライムリーディングで追加料金なしで読書をすることができます。
通勤通学中は、文字を読める状態にないという方もいるかもしれません。満員電車の中だったり、車通勤や自転車通勤の方には音声で読書をする方法をおすすめします。耳から読書をするサービスもたくさんあります。
読書量の平均はどのくらいなのか
読書量の重要性を理解した時に、どのくらいの数の本を読めばいいのかと気になる人もいると思います。果たして、一般的には読書量はどのくらいなのか。読書量がどのくらいになれば、結果が違ってくるのか、気になると思います。
ただ結論から言いますと、日本人の読書量の平均は年間で12〜13冊という調査結果(文部科学省)があります(マンガは対象外)。しかしこの読書量には、月に1冊まで読んでいない人(47%)が含まれていません。実はかなり少ないのです。
読書量についてのさまざまな調査や著名人の読書量について、深掘りして紹介いたします。
読書量の調査
読書量の調査については、政府が行なっているものから、民間の調査会社が行なっているものまで、幅広くあります。当然ながら調査方法や対象となる年齢、また調査期間などによって調査結果の数値には、わずかの違いが生じています。しかし大まかな目安としての数値には一貫性があります。日本では約半分近くの人が、そもそも読書をしていないという状況にあります。
読書量の統計
読書量の調査・統計について、よく知られているのは「全国学校図書館協議会による調査」があります。対象となっているのは、全国の小学生・中学生・高校生です。第66回までは、全国学校図書館協議会と毎日新聞社の共催で行われていました。過去31年の調査結果の推移では、小学生・中学生・高校生の読書量と不読率(読まない人の割合)が示されています。
国立青少年教育振興機構では、20代〜60代の成人を対象として調査が行われています。成人調査集計結果の中で、読書量についても統計結果が示されています。
また民間調査機関「Job総研」では「2021年 秋の読書実態調査」が公開されており、コロナ禍によって読書時間が増えたとする回答があったことは興味深いです。ただし読書量(読書の頻度の中で読書量が紹介されている)自体には、大きな変化は見られません。
日本人の読書量について文化庁が調査しています
文化庁の直近の調査では、読書量に関して平成30年度に統計結果が示されています。読書量について最も多い回答は、「月に一冊の本を読まない」であり47%を超えています。次いで多いのが、月に1〜2冊という回答であり、37%超です(7冊以上になると3%しかいない)。
特徴的なのは、「最も読書すべき時期はいつ頃と考えるか」と質問に対して、20代〜60代はほんの数%しか必要だと考えられていないことです。そのまま20代以降の読書率が異常に低い統計結果につながっています。
読書量で上位1位なのは
何の読書調査においても、読書量で1位なのは、月に1〜2冊の読書量です。かなり少ないのです。もし読書にかける時間を増やすことができるなら、読書量において上位1%の人になることも可能だと言えます。
もちろん職場の環境によっての違いはあります。読書量が極端に高い環境である場合には、一概には言えません。しかし一般企業ならば、読書量の割合は上記の数値よりもさらに少なくなると考えられます。
つまり読書量については、大学や研究施設以外の一般企業の場合、もし一月に7冊以上の読書量を維持できれば、上位1%のグループに入る可能性さえあるのです。
読書量が減少している理由
若者を中心とした活字離れや本離れは、過去数年間言われ続けてきたことです。近年、状況が加速しているのは「スマホ」が関係していると言われます。通勤通学の途中時間が、読書からスマホへ変わってしまっているのです。
変わって増えたのが、スマホを見る時間です。具体的には、ゲームやSNSに充てる時間が増加しているのです。先に紹介した各調査の統計結果によれば、読書量が減少している理由で目立って多いのが次の3つです。
1.忙しく読書の時間が取れない
2.本を読むのは時間がかかる
3.他の趣味に時間を使いたい
読書量が減少している表面的な理由の裏には、読書は単なる趣味であり、人生や仕事に影響を与えるほど重要なことだと気づいていない様子が見て取れます。
世界の読書量ランキング
海外では、「人生や仕事で成功するには読書が重要」という考え方が一般的とされています。特に欧米人には、時間があれば読書をするという人が多いようです。
世界の人達がどのくらい読書をするのかについては、GfKジャパンの「読書頻度に関するグローバル調査」によって示されています。調査では先進諸国17カ国に対して調査が行われ、日本は15位という読書頻度の低さがわかります。
最も読書頻度が多いのは中国、ついでイギリスとスペインという順位です。世界には「日本人は勤勉」という印象があるようですが、現実はかなり違ってしまっています。
フィンランドの読書量|教育先進国
フィンランドは、前述のGfKの読書頻度に関するグローバル調査の対象国に入っていません。しかし教育先進国として知られており、世界トップクラスの読書好きとしても知られています。図書館の利用率は世界一とも言われます。
大統領自らが読書に関して国家プロジェクトとして取り上げているのです。国民一人ひとりの質を上げることが重要であり、室とは教育であり、教育のためには「読書」が重要であるとしています。
そうした国の考え方は国民に浸透しています。その結果、8割近い人達が1日に1時間の読書をしていると言われるほどなのです。日本の読書量を考えると、大きな隔たりを感じざるを得ません。
読書量が多い人は何冊の本を読むのか
人生を好転させるためには、何冊の本を読むべきなのか。成果が出るには個人差があります。読書量が多いと言われる人は、何冊の本を読むのでしょうか。また著名人の方々は何冊読んでいるのかについても深堀りして解説します。
読書家といわれる人の読書量
読書家といわれる人たちの読書量はどのくらいなのでしょう。そもそも「読書」と言われるのはどんな人なのかが関係しています。一般的に、読書家とは「よく本を読んでいる人」「平均よりも多く読書をしている人」と考えられます。
そう考えますと、前述の文化庁の調査結果から推定することができます。読書をする人の割合で最も多い回答は、月に1〜2冊でした。つまりこの数値を超える読書量がある人は、読書家といってよいのかもしれません。つまり読書家の読書量は、月に3〜4冊以上と推定することができます。
ビルゲイツの読書量
著名人や経営者として成功している人には、読書家が多いことはよく知られていることです。マイクロソフトの創業者であるビルゲイツさんも読書家としてよく知られています。
公表されている情報からしますと、ビルゲイツの読書量は年間で50冊以上とされています。1年間は52週ですので、およそ週に一冊の本を読んでいるという読書量になります。
またマイクロソフトの創業者であることから電子書籍を多く読んでいそうな印象がありますが、実際には紙の本を読むことを基本にしているようです。読書中のひらめきや気づきをメモするためだったようです。早く読むことよりも、理解することに重点をおいた読書方法です。
ホリエモンの読書量
ホリエモン(堀江貴文さん)は、読書は単なる趣味として読むべきもの、としています。さらに「成功するために本を読むのはバカ」とまで公表しています。
しかし自身には多くの著書があることや、懲役中の2年6ヶ月の間に1000冊の本を読んだことからすると、何かしらの違和感を感じます。また懲役期間の2年6ヶ月で1000冊を読むということは、単純計算では1日に一冊以上の読書というかなりのハイスピードで読んだことになります。
読書を単なる趣味と断定したり、成功するために本を読むのはバカと発言したことなどは、それだけ多くの読書量を重ねた上での考えであると思われます。
カズレーザーの読書量
とても博識なお笑い芸人として知られるカズレーザーさんも読書家の一人です。読書量は最近の数年間でさらに増加しているようです。2016年当時の資料では、年間に200冊は読むようにしているというコメントがあります。しかし2022年のコメントでは、「年間500冊の本を購入する」としています。
購入することは、そのまま読書量とは言えませんが、テレビ番組内で繰り広げられる知識量からすれば、ある程度は積読をしているとしても500冊のうちのかなりの読書量があるものと思われます。
拾い読みや速読などのテクニックを使って読んでいるのかもしれませんが、知識に残る読み方をしているようです。
又吉の読書量
お笑い芸人からプロの作家への転身(?)を成功させた又吉さんもまた読書家として知られる一人です。2016年当時のコメントに「読破した本の数は2000冊以上」と述べています。
忙しい中でも読書を続ける秘訣は、「5〜10分でも時間があれば、細切れになっても読み進めること」としています。私たちが読書量を増やす方法にも真似できる方法です。
2022年のコメントから察すると、最近の読書量は1ヶ月で10冊以上のようです。文化庁の調査結果に照らし合わせると、上位3%未満(7冊以上読んでる人が3%)ということになります。
読書量の目安はどのくらいに
一般的な読書量に関する調査結果を知り、さらに著名人の読書量を知った上で、自分自身はどのくらい読書量を読めばいいのか、と考える方もいるかもしれません。
読書量は単純に多ければいいというものではありません。たくさん本を読んでも自分の知識情報として残せないという人もいます。またエビングハウスの忘却曲線という理論もあり、人は本を1度しか読まない程度では忘れてしまうこともわかっています。同じ本を繰り返し読書したり、同じテーマの本を複数読んだりすることで、復習効果などにより知識は忘れにくくなっていきます。
ですので、読書量は何冊読めばいいという目安を決めることは難しいのです。本の読み方や、復習の仕方やメモの取り方など複雑に関連するからです。読書量にこだわるよりも、読書の頻度にこだわる方が成果が大きいかもしれません。つまり何冊という読書量ではなく、毎日1時間などというように読書頻度にこだわるということです。
中学生の読書量の目安
中学生の読書量の状況を知るには、前述の全国学校図書館協議会のデータや、学研の調査結果(中学生白書Web版)が役に立ちます。全国学校図書館協議会のデータよりも学研の調査結果の方が、より細かく調査されています。
1ヶ月に10冊以上読んでいる人が5%いる反面、全体の読書量の平均は2冊をやや下回っている状況です。小学生の時には、月に5〜10冊読んでいた方でも、中学生の学年が進むにつれて読書量が減少してしまいます。
中学生の読書量の目安としても、やはり1週間に一冊、つまり1ヶ月に4冊ほどを読書量の目安とすると良いのかもしれません。
まとめ
読書量が多い人の特徴と著名人の読書量についてなどを紹介してまいりました。
必ずしも読書量が多い人の方が頭がいいとか、人生や仕事の成功者になれるなどと言い切れるものではありません。しかし知識と情報源をたくさん持っている人の方が、チャンスを多く持てることは事実です。
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