認知症は、高齢者にとって深刻な問題であるとされています。
認知症とは、記憶力や判断力、言語能力などの認知機能が障害を受け、日常生活に支障が出る状態のことを指します。高齢者になるほど認知症になるリスクが高く、日本では65歳以上の高齢者の約1割以上が認知症と診断されています。
認知症は、家族や介護者にとっても大きな負担となり、社会全体にとっても深刻な問題となっています。そのため、認知症予防に取り組むことが求められています。
読書には認知症を予防する効果が期待できる
数多くの研究が行われ、読書が認知症予防に効果的であることが報告されています。
例えば、米国のハーバード大学医学部の研究チームが、1962人の高齢者を対象に行った14年間の縦断研究では、週に1回以上本を読んでいる人は認知症になるリスクが54%低かったと報告されています。
また、英国の研究チームが行った調査では、読書や書道などの文化活動を行っている人は、行っていない人と比較して認知症になるリスクが約40%低かったと報告されています。これらの研究から、読書が認知症予防に効果的であることが示されています。
読書が認知症予防に効果的である理由
読書が認知症予防に効果的である理由は、以下のようなものが挙げられます。
まず、読書によって脳が刺激されることで、脳細胞のつながりが強化されるため、認知機能が向上します。特に、新しい知識を学ぶことや複雑な文章を読むことは、脳にとっての良い刺激になるということです。
次に、読書によってストレスが軽減されるため、脳が健康な状態を保ちやすくなります。ストレスは脳細胞をダメージを与えることがありますが、読書はリラックス効果があるため、脳に良い影響を与えることができます。
また、読書によって想像力や創造力が刺激されるため、脳が柔軟性を保ちやすくなります。脳が柔軟性を失うと、認知症の発症リスクが高まることが知られています。
更に、読書は孤独感を軽減し、社会的交流を促すことができます。社会的交流があると、脳が活性化し、認知症予防につながるとされています。
以上のように、読書には認知症予防に効果的な多くの要素が含まれています。特に、新しい知識を学ぶことや複雑な文章を読むことは、脳にとって非常に重要な刺激になるため、積極的に取り入れていくことで、読書は認知症予防に効果的であると考えられています。
認知症の予防になる読書のアドバイス
以下に、認知症予防のために読書をする際のアドバイスをいくつか紹介します。
認知症予防のためには読書を習慣化する
毎日、一定の時間を読書に割り当てることで、読書を習慣化することができます。例えば、寝る前に30分間本を読むといったルーティンを作ることができます。
様々なジャンルの本を読む
一つのジャンルに偏らず、様々なジャンルの本を読むことで、脳に刺激を与えることができます。小説、詩、歴史、科学、芸術など、幅広いジャンルの本を読んでみましょう。
読書に集中する
集中して本を読むことで、脳に刺激を与えることができます。読書の際には、集中力を高めるために外部からの刺激を避け、集中できる環境を整えることが大切です。
黙読よりも音読の方が口のトレーニングにもなる
高齢者になれば、一般的には脳の機能に衰えを感じてしまうものですが、実は口に関連する機能の衰えも気になります。会話が少なくなり、食べる量も減少してしまいます。
その結果、口腔(口に関連する)機能が低下し、飲み込む力が低下し・滑舌も衰えてしまうからです。
しかし、音読や素読、あるいは朗読という、声に出して読む読み方は、脳のトレーニングの他に口のトレーニングになります。認知症の予防トレーニングになりますし、誤嚥性肺炎の予防にもなりそうです。
まとめ
認知症は、脳の機能が徐々に低下する状態であり、認知症になるリスクを下げるためには、脳を活性化し続けることが必要です。読書は、脳を刺激することができるため、認知症予防に効果的です。
読書をすることで、言語能力、記憶力、注意力、想像力、推理力などの脳の機能が刺激されます。また、新しい情報や知識を学ぶことで、脳が新しい神経回路を作り出すこともできます。これらの活動は、脳の血流量や神経細胞の成長にもつながります。
また、読書は、ストレスを軽減することもできます。ストレスが脳に悪影響を与えることがあるため、ストレス解消に読書を取り入れることで、脳を健康な状態に保つことができます。
つまり、定期的に読書を行うことで、認知症の発症リスクを減らし、脳を健康な状態に保つことができるとされています。
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