読書率が低下し、SNSとスマホが原因とされていますが、海外を見ても日本はとても読書率が低いです。
原因は他にありそうな気がしませんか。
また中高生の読書率も低下し、子どもたちの読解力が下がっていることが話題になったことがあります。
子ども以上に大人の読書率の低下と読解力の低下の方が、企業では問題になっています。
逆に、社会人になって読書量を増やし勉強している人にとってはチャンスの時と言えるかもしれません。
読書率の低下|地域(県)別・年代別・世界との比較
読書に関する読書量・読書率などの数値は、すでに何年もの間、低下を続けています。
コロナ禍で、読書量が減ったという人よりも、読書量が増えたとする人の割合が数ポイント多かったことが注目されていましたが、一過性のものでしょう。
読書率の低下の原因
読書をしない人の割合が増えています。不読率という数値で表されます。
読書率の低下は中学生に顕著に現れ、高校生となるとさらに低下します。低下の原因は、SNSやスマホの進化だとする説がまことしやかにあります。
学研教育総合研究所の調査(古くは1946年から読者はがきがベース、2010年からインターネット調査)によれば、小学生の読書量が30年前に比べると、半減しているようです。とすると、SNSやスマホの進化だけでもなさそうです。
また、全国学校図書館協会、毎日新聞社、文部科学省、文化庁、民間調査機関など、読書に関する調査は、毎年のように行われており、調査対象者により、多少前後するものの、日本全国の読書に関する読書量の数値・読書率に関する数値は、いずれも年々低下をしています。
未来の日本を考える上では、ピンチでありますから、関係各所では打開策を検討していますが、効果ある策は今のところ、目立ったものはありません。
読書率が低下を続けると
読書率低下の問題で表面的に取り上げられるのは、多くの場合、中学生・高校生・小学生です。
しかし、目の前の問題として最も大きいのは大人の方です。読書しない大人の問題を取り上げるメディアは少ないですが、企業内では大きな問題になっています。
筆者の40年間の会社員から経営者までの経験で感ずることと近い印象があるのは、文化庁の「国語に関する世論調査」の「Ⅳ読書について」の調査結果の数値です。
本を読む人の割合は明らかに低下し社会人はほとんど読書しない
文化庁の上記の調査結果を見ていると、大人になると、読書率が低下しているだけではなく、約6割の人が本を読む必要があるのは、10代までと考えていることがわかります。
読書が必要と考える年代の問いに、「年齢に関係なく必要」という回答は約20%しかいません。60%の回答が10歳以下を示しています。
また70%近い人が、読書量が減っていると回答していることも気になります。逆に、今すぐにでも、月に3冊以上読んでいけば、上位15%の一人になります。
読書しないとどうなるか
PISA(国際学力調査)では世界の国々の15歳の男女を対象に、3分野の試験を行なっています。
日本は、科学と数学においては、上位だったものの、読解力については最近2回続けてダウンしています。
関係各所で、読書に関する調査を行い、小学生<中学生<高校生と読書率低下が指摘され、取り上げられているのは、PISAの結果が関係しているのでしょう。
つまり、読書量と読書率が低下しているから、読解力が低下したという考え方です。
社会人の読書率の低下は非常に大変
企業の社員教育の現場にいて感じることは、「読書しない人」と感じることが増えています。なぜかといえば、社内のルールや顧客からの連絡内容、取引先とのメールの内容を、自分独自の理解・解釈をして、トラブルを起こす人が増えてるからです。
まずいのは、本人にはその意識(理解不足)がないことです。さらに、会社員は毎日様々な書類を書きますが、中学生レベルの文章しか書けない社会人も増えています。
戦略書や計画書などはとても無理です。報告書すら書くことが難しい人が増えています。
読書をしない人と接していて感じることは、驚くほど、「言葉を知らない」ことです。そのために、例えば業務上の注意やアドバイスをされても、相手が話していることを理解できないのです。相手が顧客や取引先となれば、会社の損失が発生する可能性もあります。
ですので、ごく普通に読解力・文章力があるだけの社員が、優秀にすら見えてきます。
毎月3〜4冊の本を読んでいる人はチャンスです。その状況を維持して、「行動」のギアを少し上げれば、上司から、チャンスを与えられるようになります。本を読んで得た学びを仕事に活かせる場面がないかなという意識を持って行動していれば、チャンスは発生します。
大事なのは、「本から学んだことを、仕事に活かせる場面がないか」と考えながら待つことです。
読書率を都道府県別にみると
文科省の全国学力テストには、子どもの生活習慣全般のアンケートがあります。その結果から中学3年の読書率の都道府県別割合がわかります。
読書率が高い地域(平均は64.2%)2017年
1.秋田県 75.1%
2.鹿児島県 72.8%
3.山梨県 71.5%
4.福井県 70.9%
5.岩手県 70.8%
読書率が低い地域
1.大阪府 54.4%
2.和歌山県 56.6%
3.石川県 56.8%
4.大分県 57.2%
5.熊本県 57.4%
読書率を年代別にみると
民間インターネット調査機関マイボイスコムが2019年に行なった1ヶ月の読書量についての調査(20代〜60代、各年代で男性500名、女性500名を対象にインターネット調査)によれば、1ヶ月に1冊以上の本を読んでいる人の割合=読書率は以下の通りとなっています。
読書好きの人は、紙の本と電子書籍を時と場合で使い分ける傾向があります。あくまでも大まかな目安としては、紙の本と電子書籍を合計しても、月1冊も読まない人は、45〜50%程度いるものと考えられます。
紙の本を1ヶ月に1冊以上読んでいる割合 50.2%
20代 47.7%(1冊22.6%、2〜3冊15.6%、4〜5冊3.4%、6冊以上6.1%)
30代 45.6%(1冊19.4%、2〜3冊15.9%、4〜5冊3.7%、6冊以上6.6%)
40代 51.2%(1冊22.4%、2〜3冊16.8%、4〜5冊2.7%、6冊以上6.9%)
50代 53.2%(1冊23.1%、2〜3冊17.5%、4〜5冊5.3%、6冊以上7.3%)
60代 55.9%(1冊22.0%、2〜3冊20.6%、4〜5冊4.9%、6冊以上8.4%)
電子書籍の本を1ヶ月に1冊以上読んでいる割合 19.7%
20代 28.9%(1冊8.8%、2〜3冊9.8%、4〜5冊4.1%、6冊以上6.2%)
30代 26.5%(1冊8.2%、2〜3冊9.5%、4〜5冊3.0%、6冊以上5.8%)
40代 19.8%(1冊6.6%、2〜3冊5.7%、4〜5冊3.0%、6冊以上4.5%)
50代 14.9%(1冊5.2%、2〜3冊4.5%、4〜5冊1.4%、6冊以上3.8%)
60代 8.5%(1冊3.7%、2〜3冊2.3%、4〜5冊1.1%、6冊以上1.4%)
読書率の世界の状況は
もしも日本の読書率低下の原因が、SNSやスマホの普及によるものであれば、世界の状況も同程度になるはずです。
*読書頻度|GfKジャパン(17カ国22,000人のネットユーザーに2017年調査実施)
毎日ほぼ毎日 | 週1回 | 月1回 | 合計 月1回以上読む | ||
1 | 中国 | 36% | 34% | 16% | 86% |
2 | イギリス | 32% | 24% | 16% | 72% |
2 | スペイン | 32% | 25% | 16% | 73% |
4 | イタリア | 30% | 26% | 19% | 75% |
4 | アメリカ | 30% | 25% | 16% | 71% |
(中略) | |||||
15 | 日本 | 20% | 24% | 19% | 63% |
まとめ
読書率の低下のことで若者がターゲットにされますが、現実は中高年の人も本を読んでいる人は、多いと言える状況ではありません。
また世界の読書頻度に関する調査では、日本人の読書頻度は平均以下であることも判明しています。
個人レベルでは、現状よりも本をたくさん読むようになる事で、進化成長をつかめるチャンスではないかと思われます。
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