本を読む理由が気になるのは、本を読むことを勉強の延長でしか考えられない年代かもしれません。
年代で言えば、高校生から大学生、あるいは社会人になって数年の人たちだと思います。
結論を言えば、本を読む理由は自由でいいのです。ですので、人と比べることには意味がないし、人と違っていても全く問題ありません。本を読む理由は自由でいいのです。
とはいえ、一般的に本を読む理由は何だろうと気になるかもしれません。深掘りし解説します。学生でいるときの本を読む理由と、社会人になってからの本を読む理由には、変化が見られます。
本を読む理由は学生と社会人では違う
非常に大まかな言い方をすれば、約半分の人が本を読まない人(文化庁の調査や民間企業のネットアンケート調査など)です。「たまには読むよ」という人も、年間に12冊、つまり1ヶ月一冊まで読まないのでしたら、アンケートの答えでは、本を読まない人にカウントされています。
つまり世の中の約半分の人は、ほとんど本を読んでいないということです。まずそういう前提があります。
しかし社会に出ると読書の必要性を感じる人がい増えて、本を読み始める人が増えていきます。とは言いましても、この増加は一時的であり、30代になる頃にはまた本を読まない人に変わってしまいます。
ですので、本を読み始める人の割合は、全体から見れば、アンケートの数値に表れない程度の変化です。(この時点で本を読むことに気づいて継続していった人が、同期入社の中昇進昇格が早く管理職になっていきます)
あるいは友人や同僚が本を読むようになったことに刺激を受けて、自分も本を読んでみようと考え始めるのだと思います。
そこで気になってくるのは、前述の「本を読む理由」です。結論は、すでに話してしまいましたが、本を読む理由は自由であり、人の理由を気にすることも意味がないし、比べることも意味はありません。
本を読む理由|学生と社会人の違い
本を読む理由について、アンケート調査したものがいくつかあります。
日本財団が2020年に行った18歳意識調査「第30回読む書く」には、「本を読む理由(選択)」と「読書が好きな理由(自由回答)」という質問項目があります。対象は全国の17歳〜19歳の男女です。実態は学生が対象です。
また文化庁が行った「国語に関する世論調査」も参考になります。対象は全国の16歳以上の男女です。「読書をすることの良いところは何だと思うか(選択)」という質問があります。こちらは社会人が対象です。
このほかにもローカルエリア(全国の市町村) の教育委員会でも本を読む理由に関連するアンケート(選択)質問が行われています(学生が対象です)。
本を読む理由|18歳意識調査の場合
日本財団の「18歳意識調査」は、1000件をサンプルに、ネットで調査されています。
実施時期は、2020年9月29日から10月5日でした。「読むこと・書くこと」に関連した質問がなされました。
「本を読む理由」を尋ねる選択式の設問では、1位に選ばれたのが「本が好きだから」です。次いで2位が「内容に関心がある」がランキングされています。
1位 本が好きだから
2位 内容に関心がある
3位 勉強のため
4位 受験のため
5位 学校の方針
読書が好きな理由について、自由回答式に答えた回答では、多種多様な声が見えてきます。自由回答のため自由な表現がされているため、ランキング的な整理はされていません。
・いろいろな世界・知識や考え方を学べる
・面白くて没頭できる
・読解力や語彙力を学べる
・子供の頃からの習慣
全体に戻って考えると、本を読む理由は、「本を読むのが好き」という人と「受験のため・勉強のため」という人に分かれるように思われます。
本を読む理由|文化庁「国語に関する世論調査」から読み解く
政府がおこなっている「国語に関する世論調査」の中に、読書に関する質問があります。対象は16歳以上の男女です。
ですので、一部高校生と大学生も含まれますが、社会人全般と考えて良いでしょう。
その中に「読書をすることの良いところ」を尋ねる質問がされています。ただし、用意された答えから選択するものです。
1位 新しい知識・情報が得られる
2位 豊かな言葉や表現を学べる
3位 感性が豊かになる
4位 想像力・空想力を養う
5位 内容を把握する力がつく
また一般的に言われることで、社会人が本を読む理由として注目され効果として期待されている代表例は以下の通りです。
- 仕事に役立つ
- 語彙が増え読解力が高くなる>文章力も高くなる
- 収入が上がる可能性がある
- 理解力や判断力が高まる
- ストレス解消になる
- 知識情報が増えることで漠然とした不安が減少する
- 追体験することで経験値も上がる
本を読む理由で総合的に最も多いのは知識を得ること
質問と答えの設定(選択式と自由回答など)や、対象年齢などによっても、本を読む理由は様々です。ただ総合的に見ると、「本を読むことで知識情報を得ること」を目的・理由と考えている人が多いことが分かります。
学生時代には「読書が好きだから」と考えていた人が、社会人になるとより具体的な効果を得ることを理由に読書をするようになります。
本を読む理由は効果を得るため
本を読む効果にも様々ななことが言われています。中でも近年よく言われるのが、「体験ができる」といううものです。
体験と言いましても、当然実体験ではなく、追体験や疑似体験です。
本を読む理由は追体験にある
追体験とは、登場人物や著者に自分を重ねて、まるで自分が体験しているかのように感じることです。体験していてもおかしくないことで、リアリティを感じることができます。
疑似体験は、現実には起きてないし起きないようなことだが、体験的に感じることです。当然ながら追体験のほうがリアリティがあります。人間の潜在意識は、自分と他人を区別していないと言われます。追体験を重ねると、実際には経験していないのに、自分の経験値が上がることにも繋がる可能性があります。
追体験こそが読書の醍醐味とも言います。本を読む理由には十分です。
これからは脳の活性化も本を読む理由になる
最近の研究では、読書によって脳の血流が増加し、活性化することが分かってきました(東北大学 川島教授の研究を参照)。
脳は活性化すると、集中力・記憶力が高まり、頭の回転が早くなるということが分かってきています。
これからの本を読む理由には、頭が良くなるように、脳トレとして読書をする人も増えるかもしれません。
本を読む理由には先人の知恵と体験を真似る手がかり
本を読む理由に、何かを求めている人は、本を読むことを特別視し過ぎています。あるいは、学生時代のトラウマ(本を読む=勉強=つまらない)が影響しているのかもしれません。
本を読まない人は、「本を読むと何がいいの」と言います。
本を読む理由はガイドブック代わりになるから
例えば料理を覚えたい時、最初にやることは、レシピを見て材料の確認と料理方法を確認することではないでしょうか。これが本を読むことと同じことです。
知らない街に旅行に行くときには、どんな楽しいことが経験できるのか、ガイドブックを読むと思います。
家庭菜園でトマトを育てたいと思ったら、失敗したくないので、家庭菜園の方法が書かれた本を読むと思います。
本の原点は、先人たちの経験や知恵の集積したものです。ネットを見ればわかるという人もいますが、ネットの情報は広く浅いことが特徴です。それに手がかりがわかっているときは、ネットは調べやすいツールになりますが、知識がない分野の場合は、わかりやすく順序よく書かれている書籍の方がわかりやすくなります。
ですので、家庭菜園を始めたいと思ったり、始めてみたら分からないことがたくさんあるという人は、本を読むのです。
それが本を読む理由になります。農業の経験者が失敗体験や成功体験をもとにして書いてくれている本を読んで、なるべく失敗しないように、家庭菜園を進めていくことができるのです。
まとめ
本を読む理由にこだわることはありませんし、人と比べる意味もありません。
知りたいことややりたい事があれば、それを学ぶことを理由に本を読めば良いのです。
誰かにとって価値がないことは、他の誰かにとって非常に価値があるなどということは、たくさんあります。
ですので、本を読む理由は自由でいいのです。
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