本を読むのが遅いのは、そんなに悪いことじゃありません。
また同時に読書のスピードが速いことが必ずしもいいこととも言えません。
特に小説などは、ストーリーよりも心象風景の描写を楽しませてくれる本もあるのですから、1行ずつ味わいながら読みたくなるものです。登場人物の心模様を想像して読んでいれば、当然読書スピードは遅くなります。
しかし、本を読むのが遅いことで困ってる方もいるようなので、その原因と速く読めるようになるコツを紹介します。
本を読むのが遅い人の特徴は2つ|遅いことのメリットもある
そもそも、本の読み方には、速く読む速読から、黙読・音読・朗読・精読・熟読・耽読など、じっくりと読んでいく熟読まで、いろいろな読み方があります。
それぞれ、読み込むスピードも理解度の深さも違います。
本を読むのが遅い人の特徴は2つ
本を読むのが遅いという人の特徴は2つあります。それは、音読(脳内音読)と戻り読みです。
黙読しているようでいて実は脳内で音読してる
一つ目の特徴は、口で発生する音読をしているのではなく、脳内音読をしているということです。
脳内音読で読んでしまう人は、子供の頃に教わった音読の癖が残っていて、口に出さないで脳内で音読のクセのままで発音しながら読んでいるだけなのです。
本を読むのが遅い人は、脳内で、聞こえないはずの自分の音読の声が聞こえてるはずです。さらに、脳内では単なる音読ではなく熟読までしている可能性があります。
熟読とは、内容をよく読み取って、十分に読み味わう、という意味です。まさに深く読むという読み方です。
戻り読みのせいで読むのが遅い
本を読むのが遅い人の特徴の2つ目が戻り読みです。
黙読で、1つの行の文章を目で追うときに、文章の最後か途中まで進んだときに、一旦読み終えたはずの部分へ視点が戻って読んでいることがあります。これが戻り読み(返り読み)です。多くの方が自覚していると思います。
ひどい時は、2度3度と繰り返してしまいます。一冊の本を読み終える前の間に、数えきれないきれないほど、戻り読みをしています。理解を深めるために、自然と無意識に戻り読みをしていると思われます。
これも先の脳内音読と同様に、癖になっている人が多いです。
これもまた、本を読むのが遅い原因の2つ目です。
本を読むのが遅いことにもメリットがある
本を読むのが遅いことの特徴について前述しました。しかし本読むのが遅い=悪いこととはいい切れません。本を早く読むことを速読といいます。対して遅いことを遅読といいます。
ただ必ずしも速読が正義とはいえないのです。読書の速度が速くなっても理解度が下がらないのであれば、速く読めることは正しいかもしれません。しかし速読について、複数の大学(日本とアメリカ)で研究された結果、読書速度が早いほど理解度が下がることがわかっています。
逆に理解度を深めるために、熟読したり、同じ本を何度も再読したりする方法もあります。またクリティカルリーディングなどは、評価と検証をしながら読むのですから読書速度が速くなることは期待できません。しかし、著者の意図を背景までを調べて考えて検証していきますので、本の理解度は非常に深くなります。
つまり本を読むのが遅いとしても、それだけ理解が深まる可能性があり、それは読むのが遅いことのメリットと言えるものです。もし自分が本を読むのが遅いとしても、人よりも深く理解しているのであれば、メリットでしかないので、なんの問題もないということなのです。
本を読むのが遅いのは病気なのか
自分の読書速度が遅いことに気づき、速く読もうと思っても速く読むことができないでいると、自分は病気ではないかと心配する人もいます。
ネット上の情報を見れば、日本人は15人に1人の割合でディスレクシア(学習障害)がいるとか、アメリカでは11%のADHD(注意欠如多動性障害)がいるなどの記事を読むと不安を感じる人もいるかもしれません。他にもASD(アスペルガー)などの障害もあります。
しかし、本を読むのが遅いことだけで病気と判断するのは早計です。
それに本当に病気だったとしても、大人になってからカミングアウトする有名人の方々の話を聞くと勇気をもらえる感じがします。あるADHDのアナウンサーの方は、原稿を見て黙読しようとすると、活字が動いて見えるというのです。しかし何故か音読をする場面になるとその症状が治まるというのです。
また学習障害のディスレクシア(読み書き障害)であると分かってから、教育者として講演を行い、たくさんの著書を書いているという方もいます。
病気の状態にも個人差があります。全く文字が読めないという人もいますし、文字が動いて見えてしまう人もいます。また気がついたら同じ一行を何度も読んでいて、数分間経過しているなんてケースもあります。しかも前述のように、読み書き障害を持ちながら、読み書きに関する仕事をしている人は数多くいます。
本を読むスピードを速くするコツは2つ
本を読むスピードを速くするコツは2つあります。
ぜひ、自分のやりやすい方法で試してみてください。
本を速く読むコツ1つ目|指かペンを使う
指先でもいいです。
あるいは、本を読むときに抄録をしたりする人なら、ペンを持ちながら読んでいると思いますので、ペンを逆さに持ってみる、でも良いです。
読み始めたら、指先かペンを、読む行の横に、スーッとなぞらせていきます。このスーッとなぞっていくスピードに合わせて、黙読をしていきます。
脳内音読をしている時は、脳の理解度のスピードで読んでいるつもりになっているかもしれませんが、脳の理解度のスピードはもっとずっと速いので、指先を動かすスピードに十分ついてきます。
ほんの少しの練習でも、誰もがかなり速いスピードで読めるようになるはずです。
本を速く読むコツ2つ目|単語ごとに読み取る
2つ目のコツは、文章を黙読する際に、単語単位や文節で読み取るようにする方法です。
そして、この時に脳内で音読・発音しないことです。視読という文字を一文字ずつではなく一定のかたまりごとに読んでいく読み方です。
人の目は普段から知っている言葉は、文字を一文字ずつ読むのではなく、一つの映像のようにして瞬時に読み取っています。初めての文字に対しては、一文字ずつ読み込む作業をしていますが、看板やポスターやチラシの文字などは見た瞬間に、「瞬時に文字列として」読み取っているはずです。
本の中の文章を、単語ごと・センテンスごとに、瞬時に読み取りながら黙読を進めていくと、かなりのハイスピードで読み進んでいくことになります。
まとめ
先に紹介しましたように、本読むのが遅いことは必ずしも悪いことではありません。深く理解しながら読み込んでいく読み方もあるからです。速く読める方が同じ時間でたくさんの本を読めるということで、速読の技術を学びたいという人もいると思います。
しかし、速度が速くなると理解度が低くなるという、大学の研究データもありますので、速ければいいということでもないのです。
ただ、試験問題を読む場合など、速く読む必要がある場面もありますので、速く読むコツを2つ紹介しました。
共通するのは、脳内で音読しない、発音しないことです。指でなぞる方法も、単語ごとに瞬時に読み取る方法も、脳内音読・脳内発音をやめることで、今までよりもかなり速く読むことができるようになるはずです。試してみてください。
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