本の読み方で速読に関する読み方や本が多数販売されています。
これだけ「速読」関連の書籍が販売されるということは、裏返すと、実態は本を読むことが遅いことを悩んでいる人が多いということなのかもしれません。
確かに、時と場合によって、速読はとても有効です。限られた時間内で、まず文章を読まないといけない必要がある場合には速読ができるといいな、と思います。
しかし、本を読むのが遅いこと、つまり遅読はいつの場合も悪いわけではないです。
遅読はそれほど悪いことじゃない|場合によっては速読よりも良い
遅読とは、「ちどく」と発音します。意味は、「じっくりと時間をかけて読むこと」です。
速読は、早く読むことであり、その反対の意味ということになります。一般的なイメージだと、速読は良いこと、遅読は悪いことと考えてしまいそうですが、そうとも言い切れないのです。
遅読のメリットは捨て難い
他の人よりも本や文章を読むことが遅いという自覚があり、速読を覚える人もいます。
本格的な速読法でなくとも、速く読むことに意識を置いて読書を繰り返していると、徐々に早く読めるようになっていきます。高額な速度法をマスターしなくとも、例えば、言葉をひとかたまりとして読む習慣をつけると、かなり速く読めるようになります。
ただ、理解度が深いわけではないのに、遅読になってしまうこともあります。それは、文章をじっくり考えて味わっているのではなく、単純に時間がかかるだけの読み方をしているケースです。そのケースの場合は、対策した方が良いですね。
遅読のメリット
しかし、速く読めるようになった反面、後日、本や文章の内容を見落としていることが増えたことに気づくようになります。読書のスピードを速くし過ぎると、内容の理解度が浅くなることがわかっています。(諸大学の研究で明らかにされています)
少なからず、飛ばし読みになっていることが原因と思われます。
速読のメリットは、大枠の意味は捉えることができるのですが、速く読めるようになる代わりに、内容の詳細部分の理解度が浅くなってしまうのです。
対して、遅読のメリットは、じっくりと時間をかけて読むので理解度が深いことです。一文ごとにしっかりと読み込まれていきます。一語ずつ考えながら内容を熟読して読み進んだ結果、遅読になるということです。
例えば、速読や通読でざっと目を通し、重要な部分や著者の魂がこもっている部分は、熟読していくことで、よい遅読になります。クリティカルに疑問を持ちながら読むと、さらに理解が深くなります。
遅読の原因は何?
遅読になる原因は何かと考えますと、最も多いケースでは、むやみに熟読をしてしまうことです。
初めて読む本を全編熟読してしまうから
熟読すること自体悪いことではないのですが、例えば初めて読む本に対して、最初から最後まで丁寧に熟読していくということは、ロスが多い読み方をしている可能性があります。本の内容の流れには、著者がより強く伝えたいことなど、部分によって強弱があります。
ですので、目次や見出しを参考にしながら、一度軽く目を通して、その後で重要な部分にこそ熟読時間を当てていくと、むやみに遅読になることは防げます。
頭の中での音読の癖が止められない
子供の頃に音読から本を読むことを覚え始めて、小学4年くらいになると、音読することから黙読へと移行していきます。ただ、この時に、音読の癖を残したまま、口では発音しないものの、頭の中で音読しているのです。
その結果、遅読になってしまいます。このケースの方は実際かなり多いですし、本人にしか分からない状況があります。
頭の中での音読をなんとか止められると、それだけでも文字の読み方は脳で音読するよりもスムーズになります。例えば、頭の中で、「あー」などと音を発しながら、読む方法も効果があります。
遅読のすすめ
「遅読のすすめ」というタイトル名の著書があります。2002年10月出版。
この書籍では、著者が本をゆっくり読むことで得られた体験をもとに書かれています。そして、遅読を推奨しているのです。過去に読んだ本を読み返して、3度目の読書で、見落としていた一文に気づいたと記しています。
本を読むのが遅いことが遅読の特徴だがじっくり深くも特徴
前述しましたように、実は遅読には捨て難いメリットがあることを感じます。一般的に読書では遅読は、「本を読むのが遅いことは良くないこと」として、取り上げられていることを目にします。
しかし、その時の読書の目的が、文章をじっくりと味わいたいことにある時、遅読はむしろ再発見の楽しみが得られる可能性があります。
必要があって、過去に速読をした本を今一度遅読OKとして読んでみると、「遅読のすすめ」のように再発見の楽しみを味わえるかもしれないです。
まとめ
遅読は、実は全てが悪いわけではないのです。速読しても、読み終えた後に、どんな本だったのかを説明できないという場合もあります。
読書をすることの意味が薄い本の読み方よりも、多少時間がかかっても、理解度が深い方が良い場合もあります。
本の内容や時と場合によっては、遅読の良さもあります。
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