文章力を辞書で調べると、「文章を書く力、能力」と書かれています。
文章力とは文章を書く能力となります。文章を書くのを苦手とする人が「自分には文章力がない」と言いますが、パソコンのキーボードを打てば文字は打てます。しかし、文章は書けないと言います。
そして「どう書いていけばいいのか分からない」と言います。この状況が頻繁に起きているのは、仕事の現場です。会社員は毎日さまざまな文章を書きます。報告書・計画書・稟議書・伺い書・始末書などなど、さまざまな文書があるはずです。
キーボードを触れないという社会人はほとんどいないでしょうから、文章を作成する段階で「どう書けばいいのか」と困るのは、キーボードで文章を入力する能力以外に、必要な能力があるということです。
文章能力と文章力は同じもの?文章作成に関する能力は他にもある
「どう書いていけばいいのか分からない」
「文章能力がない」「文章力がない」
つまり、文章を書くためのステップを知り、そのステップごとの文章作成に関する能力を知れば、「どう書いていけばいいのか分からない」ことはなくなり、「いい文章」が書けるようになります。
いい文章とは
いい文章とはどういう文章なのか、お分かりでしょうか。
先に答えを言えば、文章の種類で答えは違います。小説ならば、感動や共感を得られる文章が良い文章でしょう。
当記事で扱うのは、ビジネス文書です。企業によって違いはあるかも知れませんが、少なくとも、日報や週報、月次報告や稟議書・伺い書など、キリがありません。
ビジネス文書の場合、それぞれの文書のゴールは決まっているはずです。ゴールとは、求められているものです。起承転結の結です。結の内容はともかく、結について書くのですから、書くべき方向性は決まっています。
いい文章とは、最後まで読んでもらえる文章です。途中で誤字脱字が、多かったり、論理性がなかったりすると、読み手は途中で読むのをやめてしまいます。会社の文書となれば、通常は上司に提出することが多いですので、評価者の目に晒してしまうことにもなります。
では、いい文章を書くために必要な能力について紹介します。
いい文章を書くための能力
どう書けばいいのか分からない、という人はいい文章を書くための能力について、気づいていなかったり、確認していないことが考えられます。
文章構造を分析し骨組みを真似する能力
「どう書けばいいのか分からない」問題は、どういう順番に書いていけばいいのか、ということだと思います。
文章構造の構成は文章を書くための重要な肝ともいうべき点です。どんな文章にも、構造があります。骨組みと考えてもいいです。
例えば、小説で言えば、「起ー承ー転ー結」という構造になっています。小説は物語の展開を楽しむものですので、最後にどんでん返しがあると面白いです。
しかし、ビジネス文書の場合は、どんでん返しがあっては困りますので、この構造は合いません。一般的には、「結論ー理由(根拠)ー事例ー再度結論」という構造で書くことが多いです。報告書では、事例の部分は時系列の事実を書き並べます。
一般的には、文章は種類に合わせた構造を持っていますので、それぞれの文書の種類でいい文章の手本を見つけて、構造を分析してマネから始めてください。
大枠のブロックの構成を決めたら、次は大見出しー中見出しー小見出し(必要に応じて)を決めます。論文形式で作成するのであれば、章ー節ー項の構成になります。大見出しは章、中見出しは節、小見出しは項に一致します。
ここまで骨組みが出来上がると、文章作成自体は、比較的簡単です。
根拠の裏付けを調査する能力
例えば、結論としてある主張をする場合に、次の構造のブロックではその理由を裏付けのもとで書くことになります。
裏付けは、研究結果などの事実か論文か、公的機関の発表など、なるべく権威が感じられるものを可能な限り調査します。
多くの場合はネットで調べられますが、必要に応じて、図書館等での調査や実地調査を行います。裏付けの取れない理由は、最初の主張や結論を支えるものとして、弱いからです。
表現の幅を持たせるには語彙力という能力とまとめる能力が必要
いい文章とは読み手に最後まで読ませる文章です。そのためには表現が単調であったり、言葉遣いが稚拙だったりすると、読み手の邪魔をしてしまいます。
読みやすくわかりやすい言葉を使って、伝えたいことを表現する必要があります。
言葉をたくさん知っていて、状況に合わせて使い分けることができる語彙力という能力が必要です。
また読みやすくわかりやすくするには、言葉選びだけではありません。文章をまとめる能力です。要約する能力でもあります。
最初の能力で、構成を決めて、見出しをつけると説明しました。見出しに対しては、要点がまとめられている必要があります。まとめるとは、余分な文章を取り除くことでもあります。
論理的に定量的に表現する能力
ビジネス文書においては、抽象的で曖昧な表現はNGです。論理的であり、定量的な表現が基本です。
抽象的で曖昧な表現は、読み手の立場や状況によって解釈が変わります。ビジネス文書においては、発言する人や読む人によって内容が変化するのではビジネスの判断はできません。数量的に表現できるものは全て、定量的表現にします。
論理的表現で代表的なのは、5W1Hに合わせて表現することです。
ビジネス文書では、抽象的で曖昧な表現はNGですので、感情的・感覚的・定性的表現はNGです。
書き終えた文章を推敲する注意能力
上記の能力を使って書き終えたら、注意して推敲することが必要です。
読み手の視点を想像して、読んでみます。読みやすくわかりやすく構成されているでしょうか。
誤字脱字はないでしょうか。
もちろん、文章校正チェックのツールを使って、文法上の間違いがないのかを確認してみましょう。文法の間違いは、書いてる本人は、気づかずにやってしまっている場合が多いですが、読み手側は違和感を感じて仕方がありません。
文章能力とは文章作成能力
文章能力とは、文章作成のためのさまざまな能力のことです。決して、文字を書くだけの能力ではありません。
相手に自分が伝えたいことを、文章によって、読みやすくわかりやすく伝える能力です。実際には、いい文章を書くには、上記で紹介したさまざまな能力が必要になります。
文章能力を高めるには
文章能力を高めるには、文章作成のためのどの能力に弱点をがあるのかを見極めることがポイントになります。
一つ一つの能力について、自問自答するなり、試してみて確認することです。文章能力をつけるには、文章作成のための各能力について、自分について知ることから始まります。
文章を書く能力とはまとめる能力でもある
文章を書くといえば、ペン持って文字を書く、PCやMacのキーボードで文字を入力する、だけではありません。
小見出しや中見出し等から見れば、趣旨の筋からずれている内容が書かれていれば、わかりにくい文章ということでもあります。
ラーメン屋という見出しを見て、店に入ったら、蕎麦が出てくるようなものです。筋から外れていれば、切って揃えるとか、削除しないといけません。
文章能力があるのかないのか|ビジネスにおいては
文章力がある、あるいは文章力がないということは、場面によって違います。プロの作家に対して文章力があると思う場合は、心が揺さぶられたり感動させられたという意味になります。
しかし一般的な社会人の場合、仕事において社内の先輩や上司あるいは自社にとっての顧客に対する時に、「文章力がある」という表現の意味はまるで違うものになります。
文章力がある書き手は、相手のことをよく考え、調べられることは可能な限り調べた上で、相手の専門度合いを調べて、相手が分かりやすいように書くものです。
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