文章力とはその名の通り文章を書く力ですが、相手がわかりやすいと感じることが必要条件です。相手が分かりにくいと感じてしまえば、どれほど良いことが書かれていても、文章力の高い良い文章とは言えないものです。
何を意識すれば文章力が高くなるのか、文章力がないと何が困るのかについて紹介しています。
文章力とは何か|相手に伝わる文章を書く力
文章力とは、使われる文書の種類によって求められる文章力の内容には少し違いがあります。ただし、一般的に言われるのは、相手に対して伝えたい内容をわかりやすく正確に文章を書く能力のことです。
ポイントなのは、わかりやすいと判断するのは相手だということです。つまり相手が変われば、文章も変わるということになります。相手への理解度が必須となるのです。
社会人が使う文章力とは、社内で書かれるさまざまな社内文書と顧客や取引先との間でやり取りされる社外へあてての文書があります。
社内文書は、業種や職種、社内の誰にあててのもの中、相手は一人なのか複数で閲覧するものなのか、再利用の頻度は高いのか、記録を残すためなのか、本当に数えきれないくらいの文書が存在します。
ただし、全ての文書に共通する文章力の基本があります。
文章力とは、こちらが伝えたいことが相手に分かりやすく伝わる文章を書く力です。
わかりやすいと感じるのは相手です。書き手ではありません。また「伝える」のではなく「伝わる」必要があります。両方とも判断するのは、自分ではなく、相手です。
文章力は複数の力で出来ている
相手にわかりやすく伝わるための文章力には、いくつか注意する点があります。それぞれが〇〇力と呼ばれるものです。実際には、一口に「文章力」と言っている文章を書く力は、「相手にわかりやすく伝わる」ことを前提とすると、文章力を構成している複数の〇〇力を集結させる必要があるのです。
文章力を構成している力には以下のようなものがあります。漠然と文章力のトレーニングをしようと考えるよりも、それぞれの力を高めていくことで、文章力が高まると考える良いです。
1)文章構成力
2)語彙力
3)敬語
4)相手へ対する想像力
5)発想力
6)要約力
7)注意力
文章力には論理的な構成設計
相手にわかりやすい文章とは、言葉の使い方と構成によって生まれます。特に構成については、人が理解しやすい物事の順番が決まっていますので、分かりやすい構成を覚えておくと良いです。
分かりにくい文章とはどういう状態かを抑えておきましょう。例えば旅行で行き先がわからずに乗り物に乗っていると不安になります。分かりにくい文章とはゴールがわからない文章です。
論理的に話す場合、結論から先にいうという方法がありますが、文章も同じです。結論を先に示すことで、文章が底に向かっていることがわかり、相手にはわかり易い文章になります。
論理的で理解しやすい文章の構成を設計することが、文章を書くとき最初に取り掛かることです。大枠の構成で一般的なものでは、以下のようなものがあります。
・結論ー理由(根拠)ー事例ー結論
・問題提起ー反論・疑問ー解決提案ー選択提案ーまとめ
・概要(序文)ー詳細(本文)ーまとめ
・事実ー説明と意見ー提案ー提案についての結果
文書の目的によって、どの構造が最適なのか判断します。
文章作成には語彙力が必要
語彙力とは、簡単に言えば、たくさんの言葉を知っていて、使いこなせることです。馴染みやすい言葉であれば、ボキャブラリーです。
文章力には、欠かせない能力です。日本語自体、言葉の数が豊富であり、同じ物事でも難しい言葉で表すこともできますし、分かりやすい言葉で表すこともできます。分かりやすいと言いましても子供が使うような言葉遣いでは、社会人として、問題ありと見られてしまいます。
報告書のような固い文書や、顧客にアプローチする柔らかい表現が必要な文書など、目的に合わせて言葉を選び分ける必要があります。
文章力には敬語
ビジネス文書であっても、単純に言葉や単語を並べればいいわけではなく、組み合わせることによって、状態や状況を最適に表現する必要があります。
相手が社外であれば、なおさらです。せっかく敬語を使っているのに、間違えた表現をしてしまい相手からの信頼を無くする可能性もあります。
例えば、敬語には相手に対して使う尊敬語と、自分を下げて表現する謙譲語、そして全般に使う丁寧語があります。自分に使うべき謙譲語を相手の行動に対して使う失敗はありがちな表現の間違いです。
語彙力とも関連する表現力もあります。言葉自体を知っていること、言葉の使い方を知っていること、言葉の使い所を知っていることが必要です。
文章力には想像力で相手視点から考える
文章の分かりやすさが最適かどうかを考えるには、相手視点で考えるという想像力が必要です。
よくある間違いは、「自分は相手のことを思って考えた」というものです。まさによくある失敗です。相手のことを想像しているようでいて、実は自分の価値観で考えている可能性があるからです。
想像力を使って考えるということは、思いやりを持って考えることでもあります。「相手の身になったつもりで、相手視点で考える」ことをすると、出てくる答えが違うことがあります。
例えば成績の悪い営業マンは、「顧客が求めているのは安いことだ。値引きを希望しているに違いない。」と考えてしまいます。しかし顧客は、「値段以前に、まず安心できる商品・サービスなのか」「買った後で失敗したと思いたくない」を心配しています。
また商品サービスや関連用語への理解度は、相手によって違います。相手の理解度を想像して文章を書く必要があります。一般ユーザーなのか、関連取引先なのか、社内の部下なのか上司なのか、によって理解度はそれぞれ違います。一般的には、一般ユーザーに専門用語はNGですし、取引先に対しては専門用語でなければおかしいでしょう。
ですので、分かりやすい文章を書くには、想像力を働かせる必要があるのです。
文章力には発想力が必要
特に一般客へ向けた文章を作る場合や、社内でのプレゼンをする場合など、毎回同じ文章や資料では良くないケースがあります。発想力とは思いつき力と置き換えても良いかもしれません。
どういう文章を作っていけば、伝わりやすいか、分かりやすいかを考えるときに、論理性はもちろん大事ですが、思いつきのように、発想して追加した文章が相手の心に刺さることもたくさんあります。
文章力には要約力で情報を詰め込みすぎない
文章作成では、要約力も必要です。多くの情報を使って、分かりやすくしたいと考えてしまいますが、情報を詰め込みすぎることが分かりにくくしてしまうこともあります。
そんなときには、次回のチャンスに詳細情報を伝えることとして、今回は多くの情報のエッセンスだけを要約して伝えることも必要です。
もちろん、文章で伝えられる次のチャンスがないこともあり得ます。全部の情報を詰め込むのではなく、要点をまとめるように要約して、短い文章にまとめることも必要です。
文章力には注意力を持って全体俯瞰
7つ目の注意力を使って全体俯瞰をするのは、文章を一通り書き終えた後に行うことです。構成を設計した書いたはずですが、完成した文章を全体俯瞰してみて、分かりにくくなっていないか、誤字脱字や表現力など全てのチェックも含めて、注意力を使って確認する必要があります。
社内の文書であれば、ミスがあっても自分の評価を下げる(もちろん大問題)ことで済むかもしれませんが、社外となれば、そうはいきません。
よくありがちなのは、ミスをしたのは自分の責任と考える人がいることです。社外文書の場合は、そう簡単ではありません。特に単純な誤字脱字ミスではなく、表現や敬語や言葉遣いなどが問題となり、取引先と今後の取引中止となることは十分にあり得ます。
ですから、文章を作成し、社外に発信する場合は、必ず責任者のチェックを受けることです。自分の一存で発信してはいけません。それが可能なのは、社長だけです。
まとめ
社会人に必要な文章力は、単純に文章を書けるということではないことをご理解いただけたと思います。
良い文章とは相手が求めることが書かれている文章です。そして、文章力が高いということは、相手に伝えたいことがわかりやすく伝わる文章を書けているということです。
相手にわかりやすく読み取れるためには、上記の7つの能力が必要です。もし何か不足しているような気づきがありましたら、意識して練習をすることです。
練習しない限り、年齢と共に自動的に、良くなって行くものではないからです。
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